2018 Fiscal Year Annual Research Report
STAP-2によるT細胞活性化制御機構の解明と自己免疫疾患への寄与の検証
Project/Area Number |
18J10479
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 浩大 北海道大学, 生命科学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | T細胞 / シグナル伝達 / 自己免疫疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアダプタータンパク質STAP-2によるT細胞受容体(TCR)シグナル伝達制御機構の解明及びT細胞を介する自己免疫疾患を含めた免疫応答へのSTAP-2の寄与を明らかにすることを目的にしている。申請者はヒトT細胞株であるJurkat細胞を用いることでSTAP-2によるTCRシグナル伝達制御機構の解明を試みた。その結果、STAP-2がT細胞において活性化依存的にLCK及びCD3ζと相互作用することでTCRシグナル伝達を正に制御する分子であることが明らかになった。さらに、より詳細な解析を進めた結果、STAP-2は自身のチロシン残基のリン酸化を介してTCRシグナル伝達を制御することが明らかとなった。また、CD3ζとの結合に必要なSTAP-2の一次構造の同定に成功したが、この一次構造がTCRシグナル伝達の制御に及ぼす影響についてはは現在解析中である。 次に生体内のT細胞を介した免疫応答におけるSTAP-2の寄与を明らかにするためにSTAP-2欠損(KO)マウスあるいはリンパ球特異的にSTAP-2を発現するSTAP-2トランスジェニック(Tg)マウスを用いて自己免疫疾患におけるSTAP-2の寄与の検証を行った。そこで、STAP-2 KOあるいはSTAP-2 Tgマウスに実験的自己免疫性脳脊髄炎 (EAE)を誘導し、その病態および免疫応答の活性化を評価した。その結果、STAP-2がIL-17産生の調節を介してEAEの病態増悪化に関与することが明らかとなった。そこで、T細胞におけるSTAP-2の機能を明確にするために脳脊髄炎惹起性の抗原特異的なTCRを発現させた2D2 TgマウスとSTAP-2 Tgマウスを交配させ、2D2/STAP-2 Tgマウスを樹立した。抗原特異的なT細胞応答におけるSTAP-2の寄与をより明確に明らかにするべく解析を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞株を用いた実験におけるSTAP-2の機能解析はより詳細な分子機構の解明に成功し、STAP-2の機能を発揮するうえで重要な一次構造まで明らかにしたことから順調に進展していると考える。また、EAEにおけるT細胞のSTAP-2の機能解析に関してもフローサイトメトリー解析を行い病態の大まかな制御メカニズムを見出したこと、2D2マウスの樹立に成功したことから順調に進展していると考える。しかしながらT細胞分化制御機構におけるSTAP-2の機能解析に関しては分化誘導の条件の確立に時間がかかってしまっているが、条件検討を重ねた結果、最適な条件が定まりつつある。以上のことから全体の達成度としてはおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
分化誘導のプロトコールが確立出来次第、各ヘルパーT細胞への分化誘導を行いSTAP-2の機能解析を行う。特に、EAEにおける機能解析からSTAP-2はTh17細胞への分化に機能を有する可能性が示されたのでTh17細胞分化におけるSTAP-2の寄与の解明を重点的に行う。Th17細胞の分化にSTAP-2の関与が考えられたら、Th17細胞の分化においてTCRシグナルと同様に重要なシグナルの一つであるサイトカインIL-6/STAT3シグナルにおけるSTAP-2の機能解析も併せて検討する。
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Research Products
(4 results)