2018 Fiscal Year Annual Research Report
水分解光触媒反応を促進する新規複合金属系ナノ粒子助触媒の開発及び動作機構の解明
Project/Area Number |
18J10548
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金澤 知器 東京工業大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 水分解反応 / 複合酸化物 / 半導体光触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
新規の複合金属酸化物材料の開発については、種々の金属前駆体を用いてCo, Ni, Cu等の第一遷移金属とCr種を複合化させた複合金属酸化物の調製を行った。これらの金属酸化物についてそれらの水の酸化反応に対する触媒活性を光化学的および電気化学的な反応から評価を行ったところ、CoAl2O4及びそれにCrを少量ドープした酸化物(CoAl2-xCrxO4)が特に高い活性を示した。この材料について、酸化物を構成する元素であるAlとCrの比率を種々変化させることによる活性への影響について系統的に調べたところ、Crが多すぎるもしくは全く存在しないと活性が低下をする一方で、Crを組成比CoAl1.6Cr0.4O4においてドープした試料について最も高い活性を示した。 またこの材料については、本研究の目標の一つである半導体光触媒を用いた光触媒的な水の酸化反応への助触媒としての利用についても検討を行った。C3N4やSrTaO2N等のそれ単独では活性が低い半導体光触媒表面に担持を行うと、水の酸化反応の活性が最大9倍程度の向上効果が見られた。以上の結果より、申請者が新規開発を行ったCoAl2-xCrxO4は、水の酸化反応の触媒として働くだけではなく半導体光触媒表面で助触媒としても働くことが示された。 他方、これまでの報告していたPd-Cr複合系ナノ粒子に関する研究についても更なる検討を行った。PdSrTiO3の表面にPd-Cr複合系ナノ粒子を光化学的に担持する際の光量を光照射時間により変化させた際、少ない光量ではPd種が金属質であり水分解反応に対する反応促進効果が低い一方で、十分な光量を照射した結果Pdは金属と酸化物の混合体となり、水分解反応に対して高い反応促進効果を示した。このことから、水分解反応の助触媒としてのPd-Cr複合系ナノ粒子の光化学的な調製については、十分な光量が必要であることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画における当初の予定であった光化学的な新規材料開発については達成できなかったものの、種々の遷移金属とCrを複合化させた複合酸化物材料の合成については熱的手法により成功した。その結果見出した完全新規の材料であるCo-Al-Cr複合酸化物は、それ自身が水の酸化反応の触媒として働く他、ナノ粒子化と半導体光触媒への担持による助触媒としての応用も可能であることが判明した。また、複合酸化物材料を構成する元素の比率を変化させた際の活性に対する系統的な相関についても研究を進めている。以上の結果から、本研究は概ね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点において、当初の目標の一つである水分解反応に適応する新規助触媒材料の開発については達成した。今後の研究については、もう一つの指針である「助触媒の駆動原理の解析」について進めていく。具体的な手法としては、新規材料であるCo-Al-Cr複合酸化物についての電気化学的手法による材料特性の評価、及び半導体光触媒に担持した際のキャリア移動のを調べることにより、考察を進めていく予定である。
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Research Products
(6 results)