2018 Fiscal Year Annual Research Report
Heterogeneous/Non-equilibrium Chemical Reaction and Self-assembly of Synthetic Helicene Oligomer
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18J10706
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
澤藤 司 東北大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ヘリセン / 構造変化 / 非平衡系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、オキシメチレンヘリセンオリゴマーのラセミ体混合物及び、末端を長鎖アルキル基で修飾したオキシメチレンヘリセンオリゴマーを用いて固体表面上または溶液中での構造変化に着目した。 オキシメチレンヘリセンオリゴマーのラセミ体混合物を用いた場合では、摩擦熱により固体表面上で一方のラセンの巻き方向のヘテロ二重ラセンを優先して形成することでキラル対称性の破れを示した。また、この現象が自己触媒反応による増幅効果により発現することを見出した。さらに、今回の系でのキラル対称性の破れはサンプルの調製方法により破れの方向を調節することが可能であった。このようにキラル対称性の破れの過程を詳しく調べた研究はこれまでほとんど行われていない。 また、オキシメチレンヘリセンオリゴマーの両末端を長鎖アルキル基で修飾した新たなヘリセンオリゴマーを合成した。このヘリセンオリゴマーは固体表面上及び溶液中でヘテロ二重ラセンとそれらが自己組織化した繊維及び多層膜ベシクルを形成した。これらは末端を長鎖アルキル基で修飾した場合でのみ発現した現象であり、末端置換基の構造によって性質が大きく変化することは興味深い。 あわせて、エチニルヘリセンオリゴマーの二重ラセン・ランダムコイル間の構造変化における非平衡ダイナミックスに関して調べた。エチニルヘリセンオリゴマーの擬鏡像異性体混合物がランダムコイルからヘテロ二重ラセン及び自己組織化体を形成する過程において連続的な自己触媒反応により二段階の反応加速を示す二相系反応速度論が得られることを見出した。これは、これまでにない新しいポジティブフィードバック現象である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オキシメチレンヘリセンオリゴマーのキラル対称性の破れに関してまとめ、現在論文投稿中である。また、末端を長鎖アルキル基で修飾したヘリセンオリゴマーを合成し、これまでにない現象を見出だすことができた。これに加え、エチニルヘリセンオリゴマーの非平衡ダイナミックスに関しても新たな現象を見出だすことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
両末端を長鎖アルキル基で修飾したオキシメチレンヘリセンオリゴマーの多層膜ベシクル形成に関して、その構造及び生成過程を電子顕微鏡を用いて調べる。また、リポソームの膜中にヘリセンオリゴマーを導入する。これは、蛍光顕微鏡を用いて観察する。
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