2018 Fiscal Year Annual Research Report
HER2タンパク質間相互作用の可視化~乳癌新規コンパニオン診断技術への展望~
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18J10855
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岩渕 英里奈 東北大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 乳癌 / タンパク質間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、乳癌において抗HER2療法の奏功性を評価する因子としてHER2およびCEACAM6(Carcinoembryonic antigen-related cell adhesion molecule)のタンパク質間相互作用(PPI; protein-protein interaction)に着目し,PPIの有無と抗HER2療法との関係を検討した。これまでin vitroでの解析が主であったPPIをヒト乳癌組織で検証することで、実臨床レベルでのPPIを用いた新規検査法の確立を目指す。 1. HER2陽性乳癌培養細胞を用いた解析: これまでの検討結果からトラスツズマブ高感受性のBT-474と低感受性のMDA-MB-361においてHER2とCEACAM6のPPIが認められたのはBT-474のみであるという結果を得ていた。本年度はトラスツズマブ高感受性のHCC-1419を加えて検討を行った。その結果,HCC-1419とBT-474でCEACAM6ノックダウンによるトラスツズマブ感受性の低下が認められ,またBT-474においてHER2のインターナリゼーションの促進が認められた.以上の結果から乳癌培養細胞株においてCEACAM6とHER2が細胞膜で結合し,HER2のインターナリゼーションを抑制することでトラスツズマブの奏功性に関与することが示唆された. 2. ヒト乳癌組織を用いた解析: HER2陽性乳癌組織の術前生検標本で,その後トラスツズマブ療法施行した症例を用いてPLA法によりCEACAM6およびHER2のPPIの解析を行った.その結果,ヒト乳癌組織においてもPPIを検出することができ,さらにPPIの陽性率が高い症例で有意にその治療効果が高いことがわかった.以上の結果からCEACAM6とHER2のPPIを評価することにより乳癌患者のトラスツズマブ奏功性が予測可能であることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳癌培養細胞株においてCEACAM6とHER2が細胞膜で結合し,HER2のインターナリゼーションを抑制することでトラスツズマブの奏功性に関与することと、ヒト乳癌組織において,CEACAM6とHER2のPPIとトラスツズマブの治療効果との関連を示すことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
抗HER2薬であるT-DM1においても同様の検討を行い、これまで得られたHER2とCEACAM6のPPIが及ぼす影響をトラスツズマブと比較する。また、HER2陽性乳癌モデルマウスを用いた解析も実施する。 1. HER2陽性乳癌培養細胞株を用いた検討: CEACAM6およびHER2のPPIとT-DM1の抗腫瘍効果との関連を検討する。トラスツズマブ同様、siRNAを用いたCEACAM6タンパクのノックダウン下でのHER2シグナル伝達の抑制機能、および抗体依存性細胞傷害活性においてCEACAM6の発現との関係を明らかにする。 2. トラスツズマブ単剤投与とPPIの関係の解析:HER2陽性乳癌モデルマウスを用い、トラスツズマブ投与による抗腫瘍効果とPPIの評価を行う。
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Research Products
(4 results)