2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18J10908
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大本 直哉 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 素粒子現象論 / 超対称性理論 / 超弦理論 / モジュラー変換 / ニュートリノ質量 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は超対称模型の現象論的かつ宇宙論的側面に関する研究である。Large Hadron Collider (LHC)などの最新の素粒子実験や宇宙観測の結果に注目して、理論的研究に還元することを目指している。本年度は超対称標準模型の現象論的性質に関する解析とニュートリノ質量行列の起源を探る研究を行った。 超対称標準模型の枠組みにおいては、gauginoやhiggsinoのCP位相のEDMへの寄与を計算した。EDMの観測は標準模型を超える超対称模型の存在可能性を示す重要な物理量である。我々が提案したシナリオは、LHCで実験データが十分に集まれば、将来的に検証されうることを示した。また、暗黒物質の性質についても考慮しており、超対称性の破れのセクターへの詳細な分析も望めることを明らかにした。 ニュートリノの質量行列に関連して、2つの研究を行った。一つは先行研究を参考に、プランクスケールから右巻きニュートリノの質量を量子効果によって導出する模型について解析を行った。数値計算との比較も行っており、結果は妥当だと思われる。この研究の論文執筆については次年度以降に行う予定である。もう一つは、モジュラー変換と呼ばれる、ある幾何学的な対称性を仮定した模型からレプトンセクターの質量行列の導出を試みた。この研究は超弦模型から導出可能な非可換離散対称性の現象論への応用として位置づけられる。この特定の対称性をもつニュートリノのフレーバー模型の現象論を検討したところ、実験と無矛盾な解を発見した。このアプローチは近年注目を集めており、クォークセクターに対しても応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請書の研究計画に記述した超対称模型の現象論的解析を行い、この点においては当初の予定通り順調に研究が進んだと判断する。 宇宙論的応用についての研究の進展はないが、当初の予定した以外の研究が論文として発表できたのは想定外だった。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、超対称模型を応用した宇宙論について、模型の構築を主体に研究を行う。 特に、モジュライの存在は様々な宇宙論においても重要で、今後はモジュライの宇宙論的性質の解析も行いたい。
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