2018 Fiscal Year Annual Research Report
Relationships between soil animals-microbes to maintain and increase soil carbon in Zambia
Project/Area Number |
18J10924
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
濱本 亨 北海道大学, 農学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 土壌炭素 / 土壌動物・微生物 / アフリカ / 土壌劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、サブサハラアフリカ地域の炭素量が低い劣化土壌において、土壌生物性の改善とそれに伴う炭素蓄積を目指している。同地域は、農地開発による土壌炭素量の減少が深刻で、農業生産性の低下・土壌劣化が問題となっている。そこで、本研究では、ザンビア共和国で有機物投入による土壌環境の影響をフィールドレベルで調べた。具体的には、ザンビアの異なる地域(ルサカ市とカブエ市)に、異なる有機物(堆肥やトウモロコシ残さ等)を投入し、土壌動物群集や土壌呼吸量等の炭素動態との関連性を調べた。 これまでの研究結果から、ルサカ市の土壌において、有機物投入は土壌動物の多様化に貢献した。特に、有機物分解を担うとされているゴミムシダマシ(Tenebrionidae)、センチコガネ(Geotrupidae)等のコウチュウ目は有機物投入により約20%増加した。このような土壌動物は粗大な有機物を摂食し、土壌団粒を形成し、土壌炭素量の向上に貢献する。 一方、炭素量が低く、貧栄養であったカブエ市の土壌では、 ルサカ市に比べ土壌動物数が少なく、有機物投入が与える土壌動物群集の影響も小さかった。したがって、土壌タイプによっては、有機物投入が必ずしも炭素蓄積に効果的ではないことを明らかにした。つまり、投入された有機物への土壌動物のアクセスが頻繁に発生せず、土壌炭素の団粒化が抑制されている可能性があった。また、カブエ市の土壌では、有機物投入後の土壌呼吸量が増加した。これは、炭素循環に対して土壌動物の影響が小さい場合、土壌微生物の有機物分解(土壌呼吸)が活発になったと考えている。 今後は、これらの土壌を用いて、定量PCRによる微生物量の定量や微生物多様性の測定を行っていく。これらの結果から、有機物投入による微生物の影響が数値化される。そして、これらの結果と土壌動物群集や土壌呼吸量の変化と関連性を調べる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までは、アフリカ・ザンビアの長期フィールド調査を主に行ってきた。ザンビアでの現地調査では、ルサカ市とカブエ市の二つの圃場で実施した。これらの圃場で堆肥やトウモロコシ(Zea mays)残さ等の複数の異なる有機物投入区を設け、複数の作物を実際に生育させた。作物生育期間中は定期的に土壌動物や土壌を採集し、有機物投入による土壌動物群集や水分量の変化を調べた。同時に、有機物分解を担う生物活性を測るため、土壌呼吸量(二酸化炭素(CO2)放出量)を調べた。上記より、初年度としての目的は,概ね達成されたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィールド調査中に経時的にサンプリングされたそれぞれの処理区での土壌は、すでに日本に輸入済である(植防の許可取得済)。そのため、今後は、日本に輸入したこれらの土壌を用いて、DNA抽出を行う。その後、定量PCRによる微生物量の定量や微生物多様性の次世代シーケンス解析を行っていく予定である。主に、バクテリアを対象として実験を進めていく。これらの実験により、有機物投入による微生物の影響が数値化される。また、これらの実験で得られる結果とこれまでの調査結果を照らし合わせ、有機物投入によって発生している土壌中の栄養動態や土壌生物群集の変化を明らかにしていく。そして、これらの変化は土壌炭素量の増加に寄与しているのか、その寄与はどの程度なのかについて明らかにしていく予定である。
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Research Products
(4 results)