2018 Fiscal Year Annual Research Report
2次元ファイバー結び目の基本群とその指標多様体による分類
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18J11484
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福田 瑞季 東北大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 2次元結び目 / Circle actions / Gluck twist |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は branched twist spin と呼ばれる4次元球面内の2次元ファイバー結び目に沿った Gluck twist の研究を行った.Branched twist spin とは4次元球面上の円作用の特異集合として定義される2次元球面であり,古典的な結び目のトーラス結び目に対応する性質の良い2次元結び目のクラスである.Gluck twist は4次元多様体内の2次元球面の近傍を取り除き,非自明な写像により張り戻す操作のことである.この操作は新たな4次元多様体を作りうる操作であり,異種微分構造をもつ4次元多様体を構成する候補の1つとして知られている.Gordon により ツイストスパン結び目に沿った Gluck twist では4次元球面が再び4次元球面と微分同相になることが,Pao により branched twist spin に沿った Gluck twist では 4次元球面が再び4次元球面と微分同相になることが示されている.Paoの結果を踏まえ,円作用に着目すると,branched twist spin に沿った Gluck twist を行った後の結び目は再び branched twist spin になることがわかった.さらに Plotnick により2次元ファイバー結び目のうち,モノドロミーの位数が奇数である結び目は Gluck twist により位相型が変化することが知られている.この結果と先の結果を組み合わせることで,今までに知られていない branched twist spin の判定が行えるようになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は古典的な結び目から構成される2次元結び目に対し,古典的な結び目の情報を用いて2次元結び目の分類を出発点に置くものであるが,今年度得られた結果は古典的な結び目の情報を用いて得られるものであり,予定通りの進捗である.さらに,Gluck twist の先行研究として,Fintushel-Stern のゲージ理論由来の不変量の構成,Plotnick による deformed スパン結び目に対するサーベイがあり,今年度得られた branched twist spin に関して得られた結果をもとに不変量の構成や一般の2次元ファイバー結び目に沿った Gluck twist に関して,先行研究の拡張になるような結果を得られることが期待される. また,Fintushel-Stern は Montesinos twin と呼ばれる2次元結び目の対に対して不変量を構成しているが,これは deformed スパン結び目の一般化に対応するものであり,研究対象を広げることで,統一的な議論が展開できる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,現在までの進捗状況で記述した Gluck twist による研究を引き続き行う.deformed スパン結び目は構成方法が抽象的かつ組み合わせ的なこともあり,幾何的情報を見い出すことが困難であるが,結び目に沿った4次元球面の分解を与え,Gluck twist を行う際に各ピースの幾何構造がどのように変化するかを調べることで,特徴づけを与える. また,branched twist spin に関して,指標多様体を用いた結果をすでに与えているが, branched twist spin の結び目群は非自明な中心を自明化させて得られた結果である.Branched twist spin は互いに素な2つの自然数と古典的な結び目により特徴づけがなされている結び目であり,上の結果は自然数の情報を完全に扱いきれていないものである.そこで,2面体群や SL(2,Z_3) など 中心が非自明な有限表示群への全射を考察し,次元や連結成分などを調べることでさらなる分類を与える.
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Research Products
(17 results)