2018 Fiscal Year Annual Research Report
情報科学的手法を用いた格子欠陥構造と物性間の相関性の解明
Project/Area Number |
18J11573
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
清原 慎 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 内殻電子励起分光法 / 機械学習 / ニューラルネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
様々なデバイスの小型化に伴い,材料の局所的な原子及び電子構造の解析は材料科学においてますます重要になりつつある.特に電池や触媒では界面や表面が重要な役割を果たす.このようなナノ・原子レベルの原子・電子構造を解析するには内殻電子励起分光法が非常に強力である.内殻電子励起分光法は,内殻軌道の電子が非占有軌道へ励起するのに必要なエネルギーを測定しており,測定されたスペクトル(core-lossスペクトル)の形状は非占有軌道の形状を反映する.しかしそのスペクトル形状は局所的な原子構造や化学結合により複雑に変化するためスペクトルを解釈する,つまりスペクトルから原子構造や化学結合の情報を抽出するのは非常に難しい.また,実験スペクトルを解釈するには理論計算により得られたスペクトルと比較し物質を同定する必要がある.さらに近年では,装置の発展により非常に優れた時空間分解でcore-lossスペクトルを取得することが可能である.結果一度の実験で何千ものスペクトルが取得可能となる.一方でこれらすべてを従来のように理論計算を併用して解釈するのは現実的ではない. そこで本研究では,2つの課題に取り組んだ. 1. 機械学習を用いたcore-lossスペクトルの予測 2. 機械学習を用いたcore-lossスペクトルのからの物性定量化 両課題に関してニューラルネットワークを用いた.また本研究では,SiO2の酸素K端を対象とした.課題1では基底状態の部分状態密度の情報のみでcore-lossスペクトルを予測することに成功した.課題2では,core-lossスペクトルから直接物性を予測した.その結果結合距離やMulliken電荷を非常に高精度ので予測可能なモデルを構築することに成功した.また本モデルを用いてノイズを含むような実験スペクトルを入力として物性定量化を試みたところ,非常に高精度に予測することに成功した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年で2つの課題解決を行うことができた.また1つ目の成果に課してはすでに論文として投稿しており,2つ目の成果に関してもすでに投稿する準備ができており,本研究は順調に進呈してるといえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
今回はSiO2結晶の酸素K端だけを対象としたが,この手法を様々な結晶構造や吸収端に拡張する.また実験への適用を行っていく.
|