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2018 Fiscal Year Annual Research Report

シロイヌナズナ野生株の遺伝的多様性を利用したアルミニウムシグナル伝達機構の解明

Research Project

Project/Area Number 18J11757
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

中野 友貴  岐阜大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywordsナチュラルバリエーション / GWAS / 遺伝子発現量多型
Outline of Annual Research Achievements

酸性土壌において、可溶化したアルミニウム (Al) は植物の生育を阻害する主要なストレス要因の一つである。植物は様々なAl耐性機構を獲得しており、これまでに複数のAl耐性遺伝子が同定されている。本研究では、シロイヌナズナ野生系統の遺伝的多様性を利用して、Al耐性遺伝子の発現量多型の原因となるプロモーター上のシス配列および転写因子などの上流遺伝子を同定することにより、Alストレスのシグナル伝達機構の全体像を明らかにすることを目的とした。
約 80 系統のシロイヌナズナ野生系統を用いて、複数の既知 Al 耐性遺伝子の発現量を測定しゲノムワイド関連解析 (GWAS) を行った。その結果、有機酸トランスポーターや酸化還元酵素などのいくつかの耐性遺伝子に関して、その発現量と高い関連を示すシスおよびトランス領域の SNP を検出した。また、近年公開されたシロイヌナズナ野生系統のゲノム及びトランスクリプトームデータを用いて、665 系統に集団を拡大し Al 耐性遺伝子の発現量の GWAS を行った。その結果、80 系統では顕著な関連 SNP が検出できなかったいくつかの遺伝子に関しても著しく高い関連を示すSNPが検出できた。
Al耐性遺伝子の一つであるクエン酸トランスポーターAtMATEの遺伝子発現量GWASから、AtMATE遺伝子座に発現量多型と高い関連を示すSNPが検出された。そこで、AtMATEプロモーターの系統間比較解析を行ったところ、AtMATE発現量が低いアクセッションにはプロモーター領域に約8kbのトランスポゾン配列の挿入が存在することが明らかとなった。また、プロモーター領域の多型の効果を除いたGWASにより、AtMATE発現量多型と関連する複数のトランス遺伝子を検出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

自身で測定したAl耐性遺伝子の発現量多型のデータに加え、665系統のパブリックなトランスクリプトームデータを利用することができるようになったため、少数のアクセッションではGWASで顕著な関連が検出できなかった遺伝子に関しても高い関連を示すSNPを検出することができた。それにともない、購入・評価する遺伝子破壊株の量が当初の予定より多くなったため、今年度に予定していたトランスクリプトーム解析は来年度に行うこととなった。
重要なAl耐性遺伝子の一つであるAtMATEの遺伝子発現量多型を評価したところ、特定の遺伝的分集団で著しく低い発現量を示すアクセッションがみられた。そのため、Single-population GWASにより発現量多型の原因因子の特定を試みた結果、遺伝子発現量に大きく影響するプロモーターへのトランスポゾンの挿入を発見することに成功した。また、AtMATEに関しては、プロモーター多型の影響を除いたGWASから遺伝子発現量と関連するトランス遺伝子を複数検出した。それら遺伝子の中には、これまでの知見から有機酸トランスポーターの遺伝子発現量への関与が考えられる遺伝子が含まれており、AtMATE発現量の制御に関与している可能性が考えられた。

Strategy for Future Research Activity

昨年度中に、GWASにより検出したAl 耐性遺伝子の発現量多型と関連するトランス遺伝子の破壊株を購入した。今年度は、それら破壊株を用いてAl耐性遺伝子の発現に対するトランス遺伝子の影響を評価する。そして、影響が大きい遺伝子を複数選抜して破壊株のトランスクリプトーム解析を行い、それら遺伝子の他の遺伝子の発現への影響を解析し、シグナル伝達経路を推定する。推定したシグナル伝達経路は、研究室が保有するシグナル伝達の阻害剤や変異体を用いて検証を行う。
遺伝子発現量のGWASによりシス領域に高い関連が検出された遺伝子に関しては、毛状根でのレポーター遺伝子を用いた解析により系統間多型による遺伝子発現への影響を解析することで、遺伝子発現に関与するシス配列を同定する。
以上の解析から得られた結果を統合し、Al耐性遺伝子の発現を制御するシグナル伝達経路の全体像およびそれに関与する遺伝子群を明らかにしたい。

  • Research Products

    (5 results)

All 2019 2018

All Presentation (5 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] シロイヌナズナ野生系統を用いたAtMATE発現量のSingle-population GWAS2019

    • Author(s)
      中野友貴, 楠和隆, 丸山春花, 小山博之, 小林佑理子
    • Organizer
      第60回日本植物生理学会年会
  • [Presentation] Dissecting the genetic architectures of Aluminum tolerance in Arabidopsis thaliana accessions2018

    • Author(s)
      Yuki Nakano, Kazutaka Kusunoki, Satoshi Iuchi, Masatomo Kobayashi, Hiroyuki Koyama, Yuriko Kobayashi
    • Organizer
      10th PSILPH2018
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] GWAS と系統間比較トランスクリプトーム解析によるアルミニウム耐性遺伝子の同定2018

    • Author(s)
      中野友貴, 楠和隆, 田中啓介, 坂田洋一, 小山博之, 小林佑理子
    • Organizer
      日本土壌肥料学会2018年度大会
  • [Presentation] GWASと系統間比較トランスクリプトーム解析によるシロイヌナズナアルミニウム耐性遺伝子および発現量多型の解析2018

    • Author(s)
      中野友貴, 楠和隆, 田中啓介, 坂田洋一, 小山博之, 小林佑理子
    • Organizer
      日本育種学会第134回講演会
  • [Presentation] GWASとGPおよび系統間比較トランスクリプトーム解析によるアルミニウム耐性遺伝子の同定2018

    • Author(s)
      中野友貴, 楠和隆, 田中啓介, 坂田洋一, 小山博之, 小林佑理子
    • Organizer
      第1回植物インフォマティクス研究会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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