2019 Fiscal Year Annual Research Report
ワイドギャップSn2+酸化物のp型化とキャリア濃度制御技術の確立
Project/Area Number |
18J11854
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
三溝 朱音 東京理科大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | p型酸化物半導体 / ワイドギャップ / 構造欠陥 / 結晶構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
透明な太陽電池を始めとした酸化物の多様性を活かした次世代のデバイス実現に向けて、ITO(酸化インジウムスズ)など既存のn型酸化物の相方となるp型酸化物半導体の開発が不可欠である。Sn2+酸化物は、理論計算からp型キャリアである正孔の高い移動度が期待されており、新規p型酸化物として注目を集めている。しかし、正孔生成が難しく、実際にp型伝導性が得られている材料は数少ない。そのため新規材料探索が課題であった。 本研究では、Sn2+酸化物であるSn2Nb2O7, Sn2Ta2O7、SnNb2O6に着目した。これらの酸化物中には一部のSn2+が酸化されて生成したNb(Ta)サイトのSn4+置換欠陥が存在する。Sn4+置換欠陥は正孔生成に寄与する欠陥である。本研究では適切な酸化条件で熱処理を行いSn4+置換欠陥の生成量を増大させることでp型伝導性の発現に初めて成功した。また、高温で焼成した試料ではn型伝導も実現し、両極性を示すことを明らかとした。さらに詳細な構造欠陥量の評価を行い、電気物性(p型/絶縁性/n型)との相関を調べた。その結果、キャリア濃度やキャリアタイプは正孔生成源であるSn4+置換欠陥と電子の生成源である酸素欠陥の相対的な生成量によって決定することを明らかとした。また、正孔生成効率は結晶構造や組成によって材料ごとに異なることを見出した。これは、酸素欠陥生成量の違いに起因すると考えられた。 本研究により、正孔濃度制御のためには適切な酸化雰囲気で焼成し、構造欠陥量を制御することが重要であることが示された。また、正孔生成効率が組成や結晶構造に依存するという知見は、正孔生成に着目した新たな材料設計指針へと繋がる成果である。本研究は萌芽段階であるが、これらの成果を基に新規p型酸化物候補の絞り込みを行い、薄膜化・デバイス化へとつなげて行くことで実用化への道筋が拓かれると期待される。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(4 results)