2018 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達による糸状菌細胞壁α-1,3-グルカンの生物機能発現と細胞壁構築機構
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18J11870
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 拳 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 菌糸凝集性 / 糸状菌細胞壁多糖 / 多糖分子量 / 多糖の空間分布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では細胞壁多糖α-1,3-グルカン(AG)の分子量と接着性の関係性を明らかにすることを目的とする。 1.AG合成酵素AgsA, AgsBが合成する細胞壁AGと菌糸接着性―AgsA, AgsBの合成多糖の接着性に違いをもたらしていたAGの平均分子量を定量し、AgsAがAgsBに比べて約4倍大きいことが明らかになった。また、分子量が異なることにより、細胞壁内での空間分布にも変化が生じていることが明らかになった。 2.AG合成関連遺伝子agtAの機能解析―AgsAとAgsBが合成するAGの分子量差をもたらす要因に迫るため、agtAが高発現株および遺伝子破壊株を作製した。その結果、agtA高発現株で細胞壁AGの分子量が減少することを見出した。agtAはagsA, agsBの発現に依存せずにAGの分子量を減少させたことから、別な因子がAgsAとAgsBの合成AGの分子量制御に寄与していることが示唆された。 3.有性生殖に関与するシグナル伝達経路活性化時のAG合成酵素遺伝子の発現解析―シグナル伝達経路活性化時、予想とは異なり、agsAで発現が低く、agsBで発現が高いことが明らかとなった。 4.細胞外多糖ガラクトサミノガラクタン(GAG)の菌糸接着への寄与の解析―麹菌Aspergillus oryzaeにおいてはAGに加えてGAGも菌糸接着することをこれまでに見出していたが、本期間において培養上清からGAGを精製する方法を確立した。この精製GAGを菌糸と混合することにより凝集が再現されたことから、GAGが菌糸接着に直接的に寄与することが強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AGの分子量の変化により細胞壁内の空間分布が変化したことは予想できなかったことである。さらに、AgsAとAgsBが生産するAGの分子量差をもたらした要因を明らかにするためagtA高発現を作製したが、AgtAがAgsA, AgsBどちらが発現していてもそれに依存せずAGの分子量が減少した。すなわち、agtAがAGの分子量を減少させることが明らかになっただけでなく、AgsAとAgsBが合成するAGの分子量制御は別な要因によって行われていることが示唆されたことから、次年度に更に解析を進めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
AgsAとAgsBが合成するAGの分子量差がもたらされる要因を解析することを通してAGの生合成メカニズムに迫るため、AgsAとAgsBのキメラタンパク質発現株を作製し、その分子量の測定を試みる。 また、agtAの高発現により分子量が減少したメカニズムについても糖質生化学的な手法を用いて迫りたい。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] A novel antifungal compound Z-705 specifically inhibits protein kinase C of filamentous fungi2019
Author(s)
Asumi Sugahara, Akira Yoshimi, Fumio Shoji, Tomonori Fujioka, Kiyoshi Kawai, Hideaki Umeyama, Katsuichiro Komatsu, Masaru Enomoto, Shigefumi Kuwahara, Daisuke Hagiwara, Takuya Katayama, Hiroyuki Horiuchi, Ken Miyazawa, Mayumi Nakayama, Keietsu Abe
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Journal Title
Applied and Environmental Biotechnology
Volume: 印刷中
DOI
Peer Reviewed
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