2018 Fiscal Year Annual Research Report
小脳-大脳皮質間ネットワークが視覚-運動座標変換を実現することを因果的に解明する
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18J11989
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐野 暢哉 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 運動野 / 小脳 / ニホンザル |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請は、小脳-大脳皮質運動関連領野をつなぐ神経ネットワークの運動制御における機能的役割を解明することを目指している。本年度は、2頭のニホンザルにおいて小脳からM1への投射特性を明らかにした。さらに小脳から投射を受けるM1ニューロンが到達運動時にどのような活動変化・特性を示すのかを解析した。特に運動座標に応じて活動を変化させるM1ニューロンへの小脳出力の関与を調べた。以上の結果から小脳ーM1をつなぐ神経ネットワークの運動時における機能的役割を考察した。上記の成果は国内外の学会において発表した。 加えて、運動課題中に小脳から運動野へ実際に情報が流れていること、さらにそのタイミングを計算論的因果律解析により明らかにした。さらに小脳を一過性に不活性化することで小脳機能不全を誘発する実験に着手している。また実験にあたり、運動野からの神経活動記録と同時に、腕の複数の筋肉からの活動記録を可能とする実験系を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の実験より、 (1)小脳からの入力により運動野(M1)ニューロンが興奮あるいは抑制するのか(投射特性)、 (2)M1におけるどのような運動情報に小脳からの入力が関与するか、 (3)運動時の小脳、M1間の情報の入出力、 を明らかにした。以上の成果からM1における運動情報に小脳からの入力が関与することを明らかにした。M1以外の運動関連領野における研究よりも優先的に、小脳の不活性化実験に着手し、実験系を確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
小脳から運動野へ流れる情報を遮断することにより、運動野において運動情報が生成されず、到達運動が障害されることを調べる。小脳を薬理的に一過性に機能脱落させ、運動障害を誘発する。この時、行動変化は映像記録し、また上肢の筋群から網羅的に筋活動を記録し解析することで、詳細な行動変化の評価を行う。さらに、運動野おいて到達運動に関連する運動情報を表現していたニューロンの活動が、小脳の機能不全により消失することを調べる。以上の検証と前年度の成果より、小脳からの入力が運動野における運動情報を生成することを解明し、小脳と運動野を繋ぐ神経ネットワークが、目で見た位置に手を伸ばす際に必要な運動制御に関与することを因果関係を持って明らかにする。随時、コンピュータプログラムを用いた解析を行いつつ、論文にまとめ投稿する。
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Research Products
(2 results)