2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J12011
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武藤 圭史朗 東京大学, 新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 金星 / 雲追跡 |
Outline of Annual Research Achievements |
1今年度の研究では金星における雲追跡アルゴリズムの改良を行った。金星などの地球以外のほかの惑星では直接風速等を測定することが困難なため主に人工衛星などによって取得された画像を用いた雲追跡によって風速場が求められてきた。しかしこれまで主に使用されてきた相互相関法では特徴的パターンの平行移動しか検出できずパターンの回転や拡大、縮小などは検出できなかった。実際の金星の大気運動においてはパターンの回転や雲層下部からの上昇流、下降流などによる未知の吸収物質が作る特徴的パターンの拡大、縮小などが存在しており、これらの動きを追跡することは重要であると考えられる。今年度の研究では今まで使われていた雲追跡アルゴリズムを改良し新たに回転不変位相相関限定法を用いて金星の雲追跡を行うアルゴリズムを作成した。回転不変位相相関限定法とは追跡領域を対数極座標変換した画像を用いて追跡領域の回転角度を求め、その求まった角度だけ元の追跡領域を回転させたのちに位相相関限定法を用いて平行移動量を求める手法である。また、位相相関限定法は画像の複素振幅スペクトルを用いて位置ずれ量を検出する手法である。この回転不変位相相関限定法により、特徴的パターンの平行移動のみでなく回転運動も同時に検出できるようになった。実際に検出された回転角度を見ても求まった角度が大きいところは大きく回転しており、このアルゴリズムが正しく動いていることが見て取れた。また、この手法を用いることにより追跡の精度を向上させることに成功した。これらの結果をJpGU-AGU Joint Meeting 2018、第144回地球電磁気・地球惑星圏学会、The 20th Symposium on Planetary Sciencesなどの国内学会で発表し、意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間的に連続して取得された惑星大気画像から大気の運動を読み取る新たな手法を考案し、日本の金星探査機による画像データに適用した。従来の雲追跡手法が平行移動のみを検出していたのに対し今回の手法では回転運動を同時に検出できるようになった。これにより追跡の精度を向上させるとともに回転運動という新たな情報が得られるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこの手法の信頼性を検証すべく、疑似データを解析して考察を進めてゆく。また、現在は特徴的パターンの回転運動と平行移動を検出しているがこれをパターンの拡大、縮小も検出できるようにアルゴリズムを改良し、金星探査機の画像データに適用して行くことを目標にする。
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Research Products
(4 results)