2018 Fiscal Year Annual Research Report
金触媒を用いた連続反応を基盤とする新規複素環骨格構築法の開発と全合成への応用
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18J12107
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松岡 純平 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 天然物 / 全合成 / 金触媒 / 連続反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
アルカロイドの基本骨格を一挙に構築する金触媒連続環化反応を開発して全合成研究に展開するとともに、アルカロイド誘導体を創薬研究に利用するための基盤構築を行うことを本研究の目的とする。反応開発研究においては、金触媒によって活性化されたアルキンやアレンに対するアジドの分子内反応によってインドールやキノリン骨格を有する反応活性種を生成し、続く分子間または分子内反応によって一挙に縮環型複素環骨格を構築する。 今年度は、金触媒を用いたスピロインドリン骨格構築法を基盤に、vindorosineの全合成を行った。トリプタミンから誘導したシリルエノールエーテル部位を有するイナミドに対してキラルな金触媒を反応させることで、不斉アリール化と環化反応を連続的に行い、光学活性な四環性スピロインドリン骨格を一挙に構築する戦略について検討を加えた。その結果、キラルな金触媒を用いた四環性スピロインドリン骨格の触媒的不斉構築法を確立し、vindorosineの形式的不斉全合成を達成した。現在は、得られた結果に関する論文の投稿準備中である。 Dictyodendrin類の全合成研究においては、既に合成を達成したdicyodendrin B, C, E, Fの生物活性評価を行い、天然物よりも高い活性を有する誘導体を見出した。これまでに確立した合成法を応用しdicyodendrin Dの形式全合成を達成した。現在は、dictyodendrin Aの全合成を行っており、望む部位に置換基を導入することは現在までに完了している。今後は、数工程の官能基変換経て全合成を達成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金触媒を用いたスピロインドリン骨格構築法を基盤に、vindorosineの全合成を達成した。その後、不斉金触媒を用いた連続反応に展開し、光学活性なスピロインドリン骨格構築法も確立した。現在、これらの成果を取りまとめた論文の投稿を準備している。 Dictyodendrin類の全合成研究においては、既に合成を達成したdicyodendrin B, C, E, Fに加えて、dicyodendrin Dの形式全合成を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
アレニルシランを基質とした連続環化反応の開発に着手する。本反応はcommunesinの中心骨格であるインドロキノリン環を構築することを目的とする。その後、CHアミノ化を含む数工程により、ピペリジン環と七員環を導入する検討を行う。引き続き、本戦略による全合成の達成を行う。
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