2018 Fiscal Year Annual Research Report
北海道畑作・酪農域における積雪・凍土の地球温暖化影響と土壌凍結促進技術の評価
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18J12196
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
勝山 祐太 北海道大学, 理学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 地球温暖化影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
積雪変質モデルの調整を行い、北海道全28地点における4冬季分の積雪断面観測との比較の結果、北海道全域の現在気候下の積雪を積雪変質モデルが十分に再現できることを確認できた。次に、調整済みの積雪変質モデルの入力値として、3種類の異なる気候モデルの計算結果を与えることで、北海道全域の高解像度な積雪の将来変化予測を得ることができた。得られた計算結果を解析した結果、1990年代と比較して全球平均気温2度上昇年代においては、渡島・檜山・胆振・後志地方や釧路・根室・網走地方で年最大積雪深が30-40%の大きな減少を示していた。この大幅な積雪減少は、質量収支解析により初冬における降雪量の減少が主な原因と分かった。さらに、積雪変質モデルに入力された3種類の気候モデルの計算結果ごとに結果を比べることで、得られた積雪減少の将来予測の不確実さについても調べた。その結果、上川・宗谷地方と釧路・根室・網走地方で計算結果のばらつきが特に大きく、将来予測が不確実な可能性があると分かった。さらに、積雪深だけでなく、積雪を構成する雪の性質についても解析したところ、道内の広い範囲で積雪の湿雪化が予測されていた。得られた成果は、今後北海道におけるの農業技術の地球温暖化後の適用可能性について議論することに使用される予定であるほか、従来予想されてこなかった雪の性質の将来予測も行っており、これらは北海道における観光資源・水資源管理などの今後の温暖化影響への適用策検討などにも役だれられることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、積雪変質モデルのパラメータ調整は終了し、北海道全域の積雪の地球温暖化に対する応答を計算することができた。また、得られた結果は、英語論文にまとめ、現在査読中となっており、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も当初の計画通り、すでに得られている北海道全域の積雪の地球温暖化に対する応答を元に、農業技術適用可能性を検討する地域の選定をまず行う。そして、選定された地域を対象に、雪踏み実験を行った場合とそうでない場合の土壌凍結深を計算し、地球温暖化後も現在気候下で行われている農業技術を適用可能かどうか議論する。
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