2018 Fiscal Year Annual Research Report
シビアアクシデント解析のためのマルチフィジックスシミュレーション手法の開発
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18J12267
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高畑 和弥 東京大学, 工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
シビアアクシデント解析のためのマルチフィジックスシミュレーション手法として、本年度は新しい格子モデルを開発した。既存のDEM-CFD法では、空隙率の計算に局所体積平均法を用いている。局所体積平均法では、流体格子に粒子径よりも十分に大きくとる必要がある。このため、薄い壁面を計算できないという問題があった。この問題を解決するため、異なるスケールのメッシュを用いて計算する新しい格子モデルを開発した。また、シミュレーションと同体系で実験を行ったところ、挙動や圧力損失の経時変化がシミュレーションと実験でよく一致した。この成果が高く評価され、2019年3月に開催された化学工学会第84回年会では優秀学生賞を受賞した。現在、国際学術誌へと投稿するため、論文を執筆中である。 その他にも、噴流層内における固体粒子の混合率評価を行った。噴流層は固体粒子の塗布や反応に用いられる装置である。歩留まりの向上には噴流層内における固体粒子の混合率評価が重要であり、シミュレーションによる現象の解析が期待されている。既存のDEM-CFD法では、1台のPCで扱える粒子数はたかだか100万個程度であり、産業スケールで求められている規模と大きくかけ離れているという問題があった。この問題を解決するため、実際よりも大きいモデル粒子を用いて計算するDEM粗視化モデルが開発されたが、これまでDEM粗視化モデルは固体粒子の混合率評価に適用されたことがなかった。今回、DEM粗視化モデルを導入したDEM-CFD法を用いて噴流層内における固体粒子の混合率を評価した。DEM粗視化モデルで予測された固体粒子の混合率の経時変化は、実粒径で計算した結果とよく一致しており、固体粒子の混合率評価に適用可能であることが本研究によって初めて示された。この成果は、Chemical Engineering Journalに国際共著論文として掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果について論文が国際学術雑誌に掲載され、また学会においても学生賞を受賞した。また、現在、引き続き論文を執筆中であり、更なる成果が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、数値シミュレーションの応用として、密度スケーリング手法の固気混相流体系への適用、複雑移動境界をもつ固気混相流体系への適用の2テーマを行っている。いずれのテーマについても良好な結果が得られており、論文を執筆中である。 加えて、MPS法における角運動量モデルの開発を進めている。以前に執筆したMPS法における熱流束の発散モデル(K.Takabatake et al., International Journal of Heat and Mass Transfer, 2016)と合わせることで、溶融した構造物の回転が扱えるようになるため、既存の手法と比べてより詳細な計算が可能となる。
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