2018 Fiscal Year Annual Research Report
2次元格子システムに対する部品の近接性を考慮した信頼性評価方法の開発
Project/Area Number |
18J12465
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 太信 首都大学東京, システムデザイン研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 2次元格子システム / 最適設計 / システム性能評価 / システム信頼度 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は,信頼性を考慮した2次元格子システムの最適設計を行うことである.具体的には,主に寿命の観点から2次元格子システムを比較し,長寿命を保証するシステム構成パラメータを特定することで,最適なシステム構成の決定を行う.システムの比較にはsignatureと呼ばれる確率ベクトルが利用可能であるが,多くの場合,膨大な計算量が必要になるため,signatureの算出は困難であることが知られている. 2018年度は,当初の計画に基づき,2次元格子システムに対するsignatureの効率的な算出方法を提案し,実用的な時間で計算可能なアルゴリズムの開発を行った.提案したアルゴリズムにより,短時間でsignature得られたことで,signatureの利用範囲は飛躍的に拡大し,その結果,最適なシステム構成の決定が可能となった.更に,予定を前倒しして2次元格子システムの最適構造問題の定式化を進め,システム寿命だけでなく,部品コストも考慮したシステム構造の比較を行った.現在,この成果を査読付き英文論文誌に投稿中である. 来年度に行う予定である“最適構造問題”と“最適配置問題”を組み合わせた統括的なシステム最適設計を行うため,最適配置問題の求解アルゴリズムの開発にも取り組んだ.アルゴリズムの内部では,システム信頼度が繰り返し算出されていることに着目し,特定の値を記憶し,その値を利用することが効率的に最適配置を求めるためには有効であると考えた.このアイデアを組み込んだアルゴリズムを開発し,数値実験により,短い時間で最適配置が得られることを確認した.この成果は英文論文誌に投稿中である.更に,システムが特定の条件を満たす場合には,単純なシステムに帰着可能であることに着目し,特定の条件を満たす場合におけるアルゴリズムの開発を行った.この研究結果は英文論文誌に採択された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度において,本研究課題を進めていく上で不可欠な2次元格子システムに対するsignatureの効率的な算出方法は予定通り完成した.更に,システム寿命だけでなく,部品コストも考慮したシステム比較を行い,最適なシステム構成の決定を可能にした.この内容を学術論文としてまとめ,現在,投稿中である.また,予定を前倒しして,2次元格子システムの最適配置問題の求解アルゴリズムの開発を進め,その内容は査読付き英文論文誌に採択済みである.研究成果としては,第一著者として査読付き学術論文2件,国際会議2件,国内学会2件の発表を行い,APIEMS2018(国際会議)ではBest Practice Paper Awardを受賞した.更に,共著者としてシステムの保全方策に関する研究成果の発表を行った.一方で,部品の近接性を考慮したadjacent signatureの算出方法はまだ完成していないため,2019年度に実施する予定である. 以上のことから,本研究課題はおおむね順調に進展していると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は,本研究課題を進めていく上での核となる,2次元格子システムに対するsignatureの効率的な算出方法を完成させることができた.また,予定を前倒しして,2次元格子システムの最適構造問題の定式化及び最適配置問題の求解アルゴリズムの開発を進めることができた.2019年度は,2018年度に得られた知見を利用し,部品の近接性を考慮したadjacent signatureの効率的な算出方法の開発に取り組む.また,“最適構造問題”と“最適配置問題”を組み合わせることで現実のシステム設計に役立てられると考えている.そこで,得られた結果に基づき,両者の関係について考察する.本研究課題における信頼性を考慮した2次元格子システムの最適設計の手順は以下の通りである.まず,主に寿命の観点から2次元格子システムを比較し,長寿命を保証するシステム構成パラメータを決定することで,最適なシステム構成を得る.次に,そのシステムに対して最適配置を導出する,すなわち,システム信頼度が最大となる部品の配置を求める.この手順で得られたシステムが考えうるすべてのシステムの中で最も高いシステム信頼度を持つことを確認するため,数値実験を用いてその検証を行う.更に,システム構造の特徴を活かした最適な保全方策についても検討を行う.研究成果は,2件の国内学会(日本経営工学会や電子情報通信学会など)と3件の国際会議で公表し,英文論文誌に投稿する予定である.
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