2018 Fiscal Year Annual Research Report
実環境を想定した上半身モデルの構築および指先接触力と上半身運動計測システムの開発
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18J12494
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
北野 敬祐 同志社大学, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 運動解析 / 慣性センサ / 手指 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,実環境を想定した手指の接触を含む動作に対する身体負荷を評価するために,上半身の運動,力の計測,身体モデルの構築およびその解析を目的としている.本年度の研究として主に,計測対象のうち最も多様な運動形態を持つ手指に焦点を当て,モデル構築およびセンサの計測誤差補正法を構築し,それらを利用した実環境における制約のない手指運動の計測を行った.慣性センサによる手指運動計測システムを用いた手指運動をより正確に取得,解析するための手指リンクモデルを構築するため,まず手指の巧みな運動を可能とするような手指の剛体分割方法を光学式モーションキャプチャのマーカ位置と比較することで検証し,各指を三個の指節とし,手の甲部を橈側および手首側と尺側および小指MP関節側のニつの剛体に分割した.さらに,慣性センサ出力のみから三次元的に関節からのセンサ位置への位置ベクトルを推定する方法を提案した.これにより,センサ出力のみから高精度なリンクモデル構築を可能とした.次に,慣性センサの姿勢算出時の誤差を解消するため,アラン分散によるノイズ特定を利用した出力補正手法や,より手指運動に適した観測方程式を構築することで,拡張カルマンフィルタによるセンサ・フュージョンを提案した.本成果は,慣性センサに特有の積分誤差を効果的に低減できるため,汎用性の高い手法である.提案したモデル構築および計測誤差補正手法を統合した手指運動計測手法による計測,解析を行った結果,手指運動の位置,相対関係精度は十分有効性を示しており,実環境を想定した手指運動計測が可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前腕を含む手指運動計測システムを使用した精度の良い運動計測を行うために,慣性センサ出力を利用した手指の剛体リンクモデルの構築手法およびより良い手指の剛体分割法を提案し,またセンサ姿勢算出時の誤差を解消するための信号処理手法やセンサ間誤差の補正法手法,積分蓄積誤差にを効果的に補正する観測方程式を構築することで,実動作における手指運動の精度の良い運動計測が可能となった.これにより,上体運動計測で困難であった手指の運動計測が可能となったため,当初一年目後半から予定していた3軸用の指先力センサの開発ではなく,先に上述の手指のモデル構築手法や補正手法を適用可能な上肢の運動計測を進めており,現在,背骨に対するセンサ数やそのS字カーブの再現などに取り組んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,前年後半に引き続き,背骨や肩周りの上体に関する運動計測手法の構築を行う.この構築では,光学式による計測結果や解剖学的な骨格情報を利用し,開発した手指の運動計測手法やモデル構築手法により,関節やセンサ位置間の相対関係を明らかにし,背骨のS字カーブの再現を図る.また,接触における指先力のせん断方向を含む3軸の接触力を推定させる計測方法の構築では,指先接触力に伴う手指先の変化量を調査し,その関係性を利用した力の推定手法の構築を図る.これら,手指,上体および,接触力を組み合わせることで実環境を想定した手指の接触を含む動作に対する身体負荷の評価や光学式との精度検証を行う.
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Research Products
(3 results)