2019 Fiscal Year Annual Research Report
地層処分における岩盤の透水特性評価を可能とする連成数値解析モデルの開発
Project/Area Number |
18J12549
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
緒方 奨 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 高レベル放射性廃棄物地層処分 / 連成数値解析 / 岩盤内亀裂の透水特性 / 複数鉱物の溶解・沈殿現象 / 亀裂発生・進展 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に構築したシミュレータを高度化し、実現場での再現性を検証した後、同シミュレータを用いて想定される地層処分環境に則した条件下で廃棄体周辺岩盤の長期透水性変化を予測した。以下に上記の詳細を記す。 昨年度、岩盤内の亀裂の発生・進展とその亀裂内での鉱物溶解・沈殿に伴う透水性変化を記述可能なシミュレータを構築していたが、同シミュレータは単一の岩石鉱物の溶解・沈殿反応しか扱うことができず、地層処分施設内の実岩盤を構成する様な複数鉱物の溶解・沈殿反応は考慮できていなかった。そこで、現行のシミュレータに熱力学データベースに基づき複数鉱物間の化学反応を計算可能な地球化学コードPHREEQCを搭載し、複数鉱物の溶解・沈殿反応を考慮可能なシミュレータへと拡張した。次に、そのシミュレータを用いて日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センターで実施された原位置試験の再現解析を行い、実現場でのシミュレータの再現性を検証した。具体的には、原位置での深度350mの岩盤への坑道掘削実験と掘削後数年に渡る長期透水試験を解析対象とした。解析結果は、実験で観測された坑道掘削時の亀裂進展範囲や岩盤の長期透水性変化を定量的に再現し、シミュレータの有効性が確認された。最後に、構築したシミュレータを用いて、高レベル放射性廃棄物地層処分時の岩盤の長期透水性変化予測解析を実施した。本解析では、想定される地層処分環境に解析条件を最大限近づけるため、上記原位置試験で得られた観測値に基づき初期条件・境界条件を与えた。解析結果から、廃棄体処分空洞掘削時に発生した亀裂が圧力溶解の影響により閉塞していき、亀裂の透水性が廃棄体設置後100年間で約1オーダー程度低下し得ることを明らかにした。 以上をふまえ、高レベル放射性廃棄物地層施設の健全性評価に資する信頼性の高い岩盤の長期透水性変化予測ツールを開発することができたと考えられる。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(17 results)