2018 Fiscal Year Annual Research Report
直観的道徳判断のプロセスにおける注意処理の役割の解明
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18J12574
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
白井 理沙子 関西学院大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 道徳判断 / 視覚的注意 / 視覚的気づき |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では,直観的な道徳判断における注意処理の役割の解明を目指す。そのために,平成30年度は,視覚的気づきや注意機能のサブプロセスに道徳的情報が与える影響を明らかにすることを目的とした実験を実施した。実験では,顔画像と文章を対呈示する連合学習課題を用い,顔画像に道徳的な意味情報を付与した。連合学習課題で作成した非道徳的な顔画像を用い,視覚的気づきや注意処理に及ぼす影響を検討した。実験課題として,注意処理の促進と抑制を調べる視覚探索課題や,視覚的気づきへの影響を調べるクラウディング,注意の瞬き現象の実験パラダイム等を用いた。 まず,注意のリソースの剥奪により刺激の出現を見落としてしまう,注意の瞬き現象に顔画像に付与した道徳関連情報が及ぼす影響を検討した。その結果,顔画像に意味づけた道徳関連情報は注意の瞬き現象に影響を与えていない可能性を示唆した。続いて,顔画像に付与した道徳関連情報が,視覚的注意に及ぼす影響を検討した。中性と関連した情報を付与した顔画像がターゲットと異なる位置に呈示されている時よりも,非道徳と関連した顔画像がターゲットと異なる位置に呈示されている時の方が,ターゲットの検出が早くなった。これは,道徳違反と関連した情報からは注意を背けるような反応が生じている可能性を示唆している。今後,道徳と関連した情報が特に注意のどのような成分に影響を及ぼすのか,課題を改変して実験を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
顔画像に道徳違反と関連した情報を連合させる実験操作の方法を確立した。この手法を用いて,主に道徳情報が視覚的注意処理に与える影響を検討した。視覚的気づきへの影響を検討した実験では,道徳と関連した情報が注意の瞬き現象に影響を及ぼさない可能性を示唆する結果を得た。また,視覚探索課題を利用した実験では,道徳と関連した情報が視覚的注意処理に影響を及ぼすことが示唆され,新たな実験を構築する足がかりを得た。以上により,「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで,道徳情報が注意処理に与える影響を主に検討してきたが,今後は注意処理が道徳判断に与える影響を検討し,両者の因果的関係性を明らかにする。
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