2018 Fiscal Year Annual Research Report
腎尿細管再吸収の動的機能解析による慢性腎臓病発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
18J12813
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
浦江 聖也 東京大学, 大学院医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | cubilin / amnionless / imerslund-grasbeck症候群 / albuminuria / proteinuria / anemia / endocytosis |
Outline of Annual Research Achievements |
CUBN/AMN複合体は腸及び腎尿細管に発現する受容体であり、アルブミン及びビタミンB12などの蛋白質取込みを担う。この受容体の先天的機能異常により、大球性貧血や蛋白尿などの症状が引き起こされることが知られている(Imerslund-Grasbeck症候群)。以前我々はCUBN変異の一部及びAMN変異の全てが、受容体の膜発現を障害していることを発見し、またその過程でCUBNの糖鎖修飾が分子機構として重要であることを突き止め、変異CUBNの膜発現を改善させる効果を持つ試薬Xを同定するに至った。しかしCUBNによるリガンド取込みを評価する実験系はこれまで構築されておらず、試薬Xによる膜発現がCUBNの機能改善をもたらすかは不明であった。またCUBN/AMN複合体の膜発現やリガンド取込みに関わる分子機構全容は解明されていなかった。 今年度に我々は全長CUBNの発現ベクターを作成することに成功した。全長CUBN及びAMNを培養細胞HEK293Tに発現させることにより、実際に細胞によるアルブミン取込みが増加すること認められ、CUBN/AMN受容体によるリガンド取込みを評価する実験系を確立することに成功した。 また我々はCUBN/AMN複合体の細胞内輸送に関わる分子機構を探索するために、結合蛋白の網羅的解析を行っており、AMNの新規結合蛋白Nを同定した。Nは核小体蛋白であるが、AMN存在下では細胞質に移行し、CUBN/AMN受容体のエンドサイトーシスを促進していることを突き止めた。このことは、これまでに知られていなかったCUBN/AMNのエンドサイトーシス、さらにリガンド取込みを制御する新しい分子機構の発見を意味するのみならず、核小体蛋白による膜受容体の制御という新規の核小体機能の発見を意味する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過年度に我々は当初の予定通り、CUBN/AMN受容体によるリガンド取込みを評価する実験系を確立することに成功した。加えて、AMNの結合蛋白の網羅的な検索の結果、新たな結合蛋白を同定し、さらにこの結合蛋白を介した新たな受容体輸送制御機構を発見できたことは当初の予定よりも大きな成果を得られたと言える。 一方でCUBN変異の機能的解析及び試薬による機能改善効果の評価については、全長CUBNベクターを用いたCUBN変異体作成が当初の予測よりも難渋しており、過年度のうちに行えておらず、今後の研究継続が必要である。
|
Strategy for Future Research Activity |
過年度に確立したCUBN/AMN受容体によるリガンド取込み評価実験系を用いて、変異CUBNの機能解析や、試薬Xによる変異CUBNの膜発現効果が実際にリガンド取込み機能を改善できるのかについて研究を進めていく。試薬Xによる機能改善が認められる場合には、変異導入マウスモデルを作成し、in-vivoでの治療効果を検証していく。 また過年度に発見した核小体蛋白による受容体輸送制御機構の生理学的意義を検証するためにノックアウトマウス作成を行う。核小体蛋白Nは核小体にてリボソーム合成にも関与しており、Conventionalノックアウトは胎生致死を引き起こす可能性が高いと予測されるため、同時にControlノックアウトマウスの作成を進める。
|
Research Products
(1 results)