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2018 Fiscal Year Annual Research Report

災害時を含む非常事態場面におけるモラル判断および利他行動の研究

Research Project

Project/Area Number 18J13558
Research InstitutionKyushu University

Principal Investigator

須藤 竜之介  九州大学, システム生命科学府, 特別研究員(DC2)

Project Period (FY) 2018-04-25 – 2020-03-31
Keywords道徳的判断 / モラルジレンマ / 意思決定 / 環境 / 温度 / 非常事態 / 災害
Outline of Annual Research Achievements

災害時のような平常時とは異なる状況、環境下では過剰な利他行動や利己行動が問題となることがある。これは災害時のような非常事態場面では、人々のモラル観や道徳的判断が平常時とは異なっていることに起因している可能性があり、その解明は急務である。
本研究では、非常事態場面の環境要因の1つとして温度に着目し、人の意思決定に対するその影響を検討してきた。申請者はこれまでの研究により、温度環境として室温を操作した場合、冷温環境下では常温環境下と比較してモラルジレンマ場面での功利主義的判断が促進されることが明らかにされた。具体的には、自らの手で1人の犠牲者を出せば多くの人の命が救える状況で、その1人を犠牲にすることが適切かどうかを問うモラルジレンマ課題において、1人を犠牲にして多くを助ける判断が選択されやすくなることが示された。
今年度は、この冷温環境の効果が室温という環境の文脈での温度の効果であるかどうかを検討する実験を行った。具体的には、身体の1部位に冷感が持続するパッドを触れさせることで冷たさの感覚を操作した。冷却箇所を1箇所、3箇所と変えることで、冷感の強度も操作した。その結果、パッドが触れる箇所の増加に伴い主観的な冷たさの知覚の上昇や体温の低下という冷温の影響が確認されたにも関わらず、道徳的判断への影響は確認されなかった。
これらのことから、冷温は環境の文脈でのみ道徳的な判断に影響を与えることが示された。災害時や何らかのトラブルにより人々が温度の低い環境に置かれた際、人の道徳的な判断やモラルに対する考え方が変化することが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

現在までの研究により、非常事態の1要因と考えられる環境的側面に着目し、その中でも温度の効果に焦点を当てて検討を行った結果、実際に温度環境が道徳的判断に影響を与えることを明らかにした。特に冷温環境下が人のモラルジレンマ場面での判断において功利主義的判断を促進することが示された。さらに、温度が環境として人の意思決定に与える影響について、身体の1部位を通して温度感覚を操作することでその詳細を検討した。これらの一連の研究によって、この温度の影響は室温のような環境の文脈でのみ人の道徳的判断に影響を与えるという、環境要因の現象であることも明らかになった。
これらの成果は学会で発表して議論を行ったうえで、現在研究成果をとりまとめた論文を投稿準備中である。加えて、これまでの一連の研究に基づいた新たな研究の準備も進められている。また、助成採択前に進めていた災害時の協力行動に関する研究もすでに論文化ができている。これまでの研究が1本の国際誌に掲載され、新たに1本が国際誌へと投稿予定となっている点等から、現在までの進捗状況は概ね計画通りに進行していると考える。

Strategy for Future Research Activity

今年度までの研究にて非常事態の1要因である寒冷下や温暖下のような温度環境がモラルジレンマ状況における道徳的判断に影響を与えることが確認され、特に寒冷環境下では自らの手で犠牲者を出してでもより多くの人々を救う功利主義的判断が促進されることが示された。今後は、この温度環境の効果がモラルジレンマ場面での道徳的判断にのみ影響を与えるのかをモラルジレンマ以外の道徳的判断課題を通して検討する。また、この温度環境の効果がモラルに関連する意思決定のみに限定してみられる現象であるかも検討する。
上記の実験準備と並行してこれまでに実施した温度環境がモラルジレンマ状況下での道徳的判断に与える影響に関する研究を論文としてとりまとめ、国際誌へと投稿する。また、上記の温度環境の影響と意思決定課題の内容との関連性の研究が完了後、時間的制や認知的な高負荷といった、非常事態場面の環境以外の側面の影響について検討する実験を実施する予定である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Reduction of communication demand under disaster congestion using control to change human communication behavior without direct restriction2018

    • Author(s)
      Satoh Daisuke、Takano Yuji、Sudo Ryunosuke、Mochida Takemi
    • Journal Title

      Computer Networks

      Volume: 134 Pages: 105~115

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.comnet.2018.01.049

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 温度環境が道徳的意思決定に与える影響 冷たさ,温かさでモラル判断は変わるのか2018

    • Author(s)
      須藤 竜之介、請園 正敏、高野 裕治、中嶋 智史
    • Organizer
      日本心理学会第82回大会
  • [Presentation] Moral judgment under dilemma situation in India2018

    • Author(s)
      Ryunosuke Sudo、Mariko Nishikitani、Simran Gill、Pooja Yadav、Anjali Rathore、Manish Biyani、Fumihiko Yokota
    • Organizer
      Biyani’s International Conference 2018
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 研究者Webページ

    • URL

      http://ketsudan.kyushu-u.ac.jp/mahara/user/view.php?id=182

URL: 

Published: 2019-12-27  

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