2018 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット-ナノ共振器結合系における真空ラビ振動を用いた幾何学量子ゲートの実現
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18J13565
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
車 一宏 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | フォトニック結晶 / 量子ドット / 共振器量子電磁力学 / 量子ゲート |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、将来の量子情報処理で重要な光と物質の相互作用を利用した量子情報技術のプラットフォームとして、半導体量子ドットと高Q値フォトニック結晶ナノ共振器の強結合系における真空ラビ振動の観測と制御を目指す。特に、本研究では幾何学位相を用いた量子操作手法を用いることで、従来の動的な量子操作手法よりも、操作誤りなどに対してロバストな真空ラビ振動の制御を実現し、それを用いた幾何学量子ゲートの開発や量子光回路への応用を目指す。
これまでに、半導体量子ドットと高Q値フォトニック結晶ナノ共振器の強結合系においてキャリア注入下における真空ラビ振動の観測に世界で初めて成功した。さらに、観測された真空ラビ振動がキャリア注入の条件を変えることで真空ラビ振動が大きく変化することを発見し、それらの変化は従来の周波数上のスペクトル分光では検出が困難であった量子ドット中のキャリアダイナミクスや位相緩和の変化を反映していることを見出した。これらの結果は、今後の真空ラビ振動の制御実験や将来の電流注入によるデバイス応用に取り組む上で重要になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画よりも早い段階で、半導体量子ドットと高Q値フォトニック結晶ナノ共振器の強結合系おける真空ラビ振動の観測に成功した。さらに、これまでに明らかになっていなかったキャリア注入による真空ラビ振動への影響を観測できたことから、予想以上の成果が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
真空ラビ振動の制御には、より高い共振器Q値が必要であることから、高いQ値をもつ共振器を安定して実現できる共振器の作製プロセスを確立する。特に、共振器表面での光吸収に起因する損失を低減する手法を検討する予定である。同時に幾何学位相を用いた真空ラビ振動の制御実験に向け、まず数値計算により動的操作の場合と比較して幾何学的な操作による優位性があるかどうかなどを実際の実験で達成可能な結合系のパラメーターを加味して調査する。理論的な検討と合わせて、原理実証のための実験も進める予定である。
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