2018 Fiscal Year Annual Research Report
修飾シクロペンタジエニルロジウム触媒の創製と不斉炭素-水素結合官能基化への応用
Project/Area Number |
18J13654
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山田 高之 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ロジウム / シクロペンタジエニル錯体 / アルキン / 炭素ー水素結合官能基化反応 / 環化反応 / Lossen転位 / アルケニル化反応 / アミド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、修飾CpARh触媒の構造多様性とペンダントアミド部位の効果を活かした高難度分子変換反応の実現を目指す。前年度、アシロキシアミド誘導体と内部アルキンに対して、修飾CpARh触媒を作用させると、形式的なLossen転位/[3+2]環化反応によりインドールおよびピロール誘導体が収率良く得られることを報告している。この報告を元に、インドールカルボキシアミドとアルキンとの環化反応を検討した。結果、転位反応は進行しなかったが、修飾CpRhの特徴が出る結果を得ることが出来た。それは即ち、炭素-水素結合の切断が律速ではない且つ電子豊富なヘテロ環を基質として用いた本反応系においては、1)電子不足CpERh触媒を用いた場合、触媒と基質との間で形成した5員環メタラサイクルに対して、空いた配位座に対して基質が配位することによって反応の進行を阻害してしまうこと、2)ペンダントアミド部位を有するCpARh触媒を用いた場合、ペンダントアミド部位のアミンの級数により、1)の反応阻害の他に、触媒中において、脱プロトン化およびアミドのカルボニル酸素の配位により、Rhの空き配座を埋めてしまうことによって反応の阻害をしてしまうことがわかった。 続いて、ヘテロールカルボキシアミドと内部アルキンの反応を検討した。その結果、当初予想していた[5,5]縮環チエノインドール誘導体は得られず、Lossen転位反応とプロトン化が進行したアルケニルヘテロール誘導体が主生成物として得られることを見出した。また、非対称アルキンの基質一般性を調査していく中で、シクロへキシルエチニルベンゼンを基質として用いた場合には、アルケニルヘテロール誘導体に代わりLossen転位と[3+2]環化反応が進行した[5,5]縮環チエノインドール誘導体が主生成物として得られることもわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドールカルボキシアミドとアルキンとの環化反応においては、当初予想していた環縮小反応は進行しなかったが、Cp*Rh触媒との比較を行うことで、修飾CpRh触媒の特徴が顕著に観測され、今後の反応設計を行う上で有意な知見を得ている。 また、ヘテロールカルボキシアミドと内部アルキンの反応の場合には、予想に反して環化反応ではなく、転位反応とプロトン化が進行したアルケニル化体を得ることができている。さらに非対称アルキンとしてシクロへキシルエチニルベンゼンを基質として用いた場合には、アルケニル化体の代わりに転位反応と[3+2]環化反応が進行した[5,5]縮環チエノインドール誘導体が主生成物として得られる。これらは反応としてユニークさだけでなく、アルケニル化体および[5,5]縮環チエノインドール誘導体は医農薬の重要中間体であり、有用性の高い化合物である。それに加えて、対応するアミノへロールからのアルケニル化反応および[3+2]環化反応の報告例は1例もなく、入手容易な出発物から有用な中間体を得ることが出来るため、合成化学的にも有用な手法である。 以上の点から、修飾CpARh触媒の構造多様性とペンダントアミド部位の効果を活かした高難度分子変換反応の実現を目指す上で、有意な知見を得ることが出来ているため、標題の評価をつけた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、ヘテロールカルボキシアミドと内部アルキンの形式的Lossen転位を伴うアルケニル化反応と[3+2]環化反応に関する研究結果を学術論文にまとめ、投稿する。その後は、さらなる基質適用範囲を拡げるため様々なアミドとアルキンまたはアルケンに対して調査を行う。具体的には分子内反応における転位反応を基軸とした環構築反応に加え、広範なヘテロ環としてインドリン誘導体に対して検討を行う。 また、修飾CpARh触媒の構造多様性とペンダントアミド部位の効果を活かした高難度分子変換反応の実現を目指す上で、来年度はキラル触媒への展開を重点的に行う。具体的な計画としては、Cp環の架橋部位により嵩高い置換基を導入することに加えて、ペンダントアミド部位に(R),(S)-BINOLから誘導したキラルなビナフチルアミンなどを導入することでよりエナンチオ選択性の向上を目指す。また、現在ターゲットにしている反応は基質が配位する段階で不斉を誘起しているが、炭素―水素結合の活性化の段階で不斉を誘起するような触媒設計および反応設計を行っていく予定である。
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Research Products
(7 results)