2019 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質工学とゼブラフィッシュ受精卵を利用したアデニン置換技術の開発
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18J14073
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 愼吾 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ゲノム編集 / ヌクレオチド編集 / APサイト / TLSポリメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はアデニン置換技術の開発の延長線上の研究として新たに着想した新規ゲノム編集技術の開発に着手した。ヌクレオチド置換技術(Target-AID, 改変型Target-AID, cytidine base editor (CBE), adenosine base editor (ABE))が有する、”DNA上の標的化した四ヌクレオチドに脱アミノ化修飾を生じさせる”という特性を利用して、標的化したヌクレオチドを欠失させる技術を考案し、この技術の設計と効果検証を行った。 本研究では以下のi)からiv)で示すメカニズムを想定している。i)Target-AIDにより生じたDNA上のウラシルをウラシルDNAグリコシラーゼ(UDG)が除去し、APサイトを生じる。ii)同時にCas9によりAPサイトの反対鎖にDNAの切れ目(nick)が生じる。iii)トランスリージョンDNAポリメラーゼとflap endonuclease-1がnickからAPサイトまでのDNAを再合成する。iv)トランスリージョンDNAポリメラーゼがAPサイトの対となる位置にを欠失変異を導入する。 本年度は、まずTarget-AIDにUDGを結合(Target-AID-UDG)させることで標的DNA上にAPサイトが生じるかどうかを検証した。次に、Target-AIDにUDG、Fen1、トランスリージョンDNAポリメラーゼを結合させた新たなコンストラクト(Nucleotide Digger: ND)を作成し、ゼブラフィッシュ生体内にて効果検証を行った。その結果、ND導入胚は欠失挿入変異が生じたアリルの20%程度で標的化したヌクレオチドを欠失していることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Target-AID-UDGコンストラクトの設計及び作成ののち、Target-AID-UDGがAPサイトの形成を促進する事を示唆する結果が得られた。さらにFen1、TLSポリメラーゼのクローニング及びNDコンストラクトの設計及び作成ののち、NDによる標的ヌクレオチドの欠失誘導を確認することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
NDによる一ヌクレオチド欠失の頻度は全欠失挿入変異のうち20%程度であり、また正常アリルも含めた全体に対する頻度は数パーセント程度と改善の余地がある。NDのDNA結合能力やポリメラーゼのプロセシビリティを変化させる事で頻度の改善を目指す予定である。
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