2018 Fiscal Year Annual Research Report
肺がんにおけるxCT依存的アミノ酸輸送を介した足場非依存性増殖能の獲得メカニズム
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18J14396
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
推名 健太郎 順天堂大学, 順天堂大学大学院医学研究科 呼吸器内科学, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | xCT / 肺がん / 代謝 / がん幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺がんに対する新規治療法の開発を目的とした基礎研究を行うため、分子生物学から創薬まで世界に抜きん出た実績のある慶應大学医学部総合医科学研究所遺伝子制御部門(佐谷秀行教授)の研究室に国内留学し研鑽を積んでいる。本年度では臨床試験において得られたリキッドバイオプシー検体の解析、新規ドラッグデリバリーシステム化薬剤の薬効評価、表面増強ラマンによるがん代謝の可視化手法の開発等いくつもの共同研究に携わり、3本の論文への貢献(Oncotarget, 2018. Oncotarget, 2018. Nat Commun, 2018.)を行っている。その中でも申請者はNSCLCにおける臨床試験においてexosome中のCD44vが治療に反応して上昇し、バイオマーカーとなりうることを見出したことはがん幹細胞治療につながる大きな発見と考えられた。また、学位論文としてEGFRがGluN2Bをその基質としてリン酸化することを介して活性化することを見出し、そのクロストークにより細胞のカルシウム濃度を高め悪性化に寄与している分子機構を解明した (Cancer Sci 2018)。更に自身のプロジェクトにも一貫して取り組み、肺がんの中でも特に悪性度及び予後の悪い小細胞肺がんのheterognenityに着目した研究を行った。小細胞肺がんにおけるマウスモデルの作成および臨床検体と細胞株を用いた研究を行い、臨床検体において、SCLCはxCTの発現が低く保たれていることを確認し、細胞株においても同様の傾向を確認した。更に、下記薬剤耐性機序メカニズムの解明を既に果たしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順天堂医院呼吸器外科との共同研究において、手術適応が稀なため希少なSCLCの手術検体を43例用いて免疫染色を行うことができた。xCTはinvasive frontと呼ばれる腫瘍辺縁及び血管浸潤部位に特異的に発現していた (図2)。また、臨床情報の解析によりxCTが陽性の症例はTNM分類において有意にN因子(リンパ節転移)及びM因子(遠隔転移)が多くSCLCにおいてxCTはその浸潤転移に関連していると考えられた。 上記の所見を元に、xCTを誘導する制御因子の同定を行った。申請者らは上記の網羅的遺伝子発現解析のデータを元に解析検討した。本解析においては腫瘍内の免疫細胞や間質細胞の混入を除外する目的で、1000以上の細胞株のデータセットをCancer Cell Line Encyclopediaからを用いてSCLCの特徴的な遺伝子とxCT発現の相関関係を検討した。血液腫瘍を含む全がん種の細胞株、固形がんの細胞株、SCLCの細胞株と分類を分け、各々の群でNeuroD, ASCL1, YAP1他NOTCHシグナル等SCLCに関し報告のあるマーカー分子についても解析を行った。その中でもYAP1及び同様の機能を持つWWTR1は全分類共通してxCTの発現と相関すること、YAP1を抑制するLATS1/2の逆相関関係を見出した。同時にNEUROD, ASCL1等神経内分泌細胞分化を誘導する転写因子は逆相関することも確認した。同所見を元にSCLCの細胞株を用いたsiRNAを用いたYAP1のノックダウン及びYAP1発現ベクターを用いた過剰発現株を作成し、xCTとの関係を確認したところYAP1のノックダウンでSLC7A11(xCT)の減少、過剰発現でSLC7A11 (xCT)の上昇を複数の細胞株で確認した(図3)。つまり、YAP1はxCT の制御因子と考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
近年、進行期のNSCLCではxCTの発現が高く、予後不良との関連が報告されている。しかし、xCTの発現とSCLCの進行との機能的な関連性はまだ解明されていない。申請者はxCTとSCLCの進行との機能的な関連性を検討し、効率的なSCLC治療法の開発のためのフェロトーシス誘導剤の臨床応用の可能性を検討している。 SCLCにおけるxCT発現の病理学的意義と予後の役割を探るために、抗xCT抗体を用いた免疫組織化学的解析をおよび予後との関係を確認しxCTがSCLCの標的となりうるかの確認を行う。またxCTの制御因子について研究によりxCTの発現を変化させる因子を抑制する方法等を検討する。本メカニズムの解明はSCLCの治療につながりうる研究と考えられる。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Gold-nanof?ve surface-enhanced Raman spectroscopy visualizes hypotaurine as a robust anti-oxidant consumed in cancer survival2018
Author(s)
Shiota M, Naya M, Yamamoto T, Hishiki T, Tani T, Takahashi H, Kubo A, Koike D, Itoh M, Ohmura M, Kabe Y, Sugiura Y, Hiraoka N, Morikawa T, Takubo K, Suina K, Nagashima H, Sampetrean O, Nagano O, Saya H, Yamazoe S, Watanabe H, Suematsu M
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 9
Pages: 1561~1561
DOI
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[Presentation] SLC7A11 expression confers cancer stem-like properties in small cell lung cancer cells2019
Author(s)
Shohei Kamenori, Kentaro Suina, Juntaro Yamasaki, Subaru Shintani, Yuji Otsuki, Yuki Hirata, Shogo Okazaki, Kenji Tsuchihashi, Oltea Sampetrean, Yoichiro Mitsuishi, Fumiyuki Takahashi, Kazuhisa Takahashi, Hideyuki Saya and Osamu Nagano
Organizer
American Association for Cancer Research (AACR).
Int'l Joint Research