2018 Fiscal Year Annual Research Report
自然主義的世界観と調和的な様相の形而上学の研究―現代の真理概念と規範性に着目して
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18J14593
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野上 志学 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 分析哲学 / 哲学 / 形而上学 / 論理学 / 認識論 / 規範性 / メタ倫理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018度の研究発表については以下の通り。(A)2018年8月9日台湾台北市台湾政治大学で開催された第4回Conferences on Contemporary Philosophy in East Asia (CCPEA)において研究発表「Normativity of Logic, Deflationary Theory of Truth, and Explosion」を行った。(B)2018年10月13日日本科学哲学会大会(立命館大学衣笠キャンパス)において研究発表「形而上学における理論的対象」を行った。(C)2018年11月11日に韓国ソウル延世大学Underwood International Collegeで開催されたワークショップLogic and Truthにおいて研究発表「Normativity of Logic」を行った。 2018年度執筆の論文については以下の通り。(D)東京大学哲学研究室『論集』37号(2018年度)「メタメタ倫理学あるいはメタ倫理学の諸理論は他の哲学理論にどのように依存するか」 研究成果の具体的内容、意義、重要性については次の通り。研究成果(A)及び(C)は論理学が我々の心的状態について及ぼしうる規範的な影響について論じた。研究成果(B)は形而上学における理論的対象の使用について批判的に検討した。これは自然主義と調和する様相理論に動機を与えるものとなっている。研究成果(D)はメタ倫理学における諸理論が他の哲学理論、特に真理概念についての理論にどのように依存するかについて論じた。いずれの研究成果も本研究「自然主義的世界観と調和的な様相の形而上学の研究―現代の真理概念と規範性に着目して」における基礎的な部分に関するものであり、2019年度の研究の土台となるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度のいずれの研究成果も本研究「自然主義的世界観と調和的な様相の形而上学の研究―現代の真理概念と規範性に着目して」において2019年度の研究の土台となるものであった。具体的には、研究発表「形而上学における理論的対象」において研究目標の明確化(すなわち、自然主義とは何かについての明確化)、研究の成功要件の明確化(すなわち、「どのような条件の下で様相についての理論が自然主義と調和的な理論となるか」ということについての明確化)を行うことができた。また近年海外の分析哲学の研究ではMacFarlaneの研究「In What Sense (If Any) Is Logic Normative for Thought?」を嚆矢として、論理学の規範性(これは自然主義と調和する様相の分析において使用される概念である。すなわち、我々が何を信じているときには何を信じるべきなのかという規範性に基づいて、何かが可能であること、何かが必然的であること(様相)についての分析が与えられることになる)についての議論が盛んになっているが、国際学会における二度の発表(台湾台北市台湾政治大学で開催された第4回Conferences on Contemporary Philosophy in East Asia (CCPEA)および韓国ソウル延世大学Underwood International Collegeで開催されたワークショップLogic and Truth)によって、その分野の研究者との交流を深めることができたことも本研究がおおむね順調に進行していることの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究において本研究「自然主義的世界観と調和的な様相の形而上学の研究―現代の真理概念と規範性に着目して」の基礎的な部分についての研究が終了した。2019年度の研究では、2018年度の研究を土台として、様相の分析を与えることを目指す。具体的には、2019年度の研究では、自然主義と調和的な様相の分析(自然主義と調和するためには、理論が自然主義によって認められないような理論的対象を措定しないということをその部分条件として含む。これは2018年度の研究において形而上学における理論的対象の使用についての議論によって条件が定められている)を提示することを目指す。具体的には、形而上学的様相と分析哲学者によって呼ばれている様相概念が、推論や信念についての規範性(「信念についての規範性」とは、特定の条件のもとではどのようなことを我々が信じるべきかについて指定するものである。この信念についての規範性については2018年度の論理の規範性についての研究によって内実を与えられている)によって分析されることを示す。推論についての規範性と様相概念の関係についてはWilfrid Sellarsの論文「Counterfactuals, Dispositions, and the Causal Modalities」とAmie Thomassonの論文「Non-Descriptivism About Modality. A Brief History And Revival」において提示されている理論を発展させる。
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