2019 Fiscal Year Annual Research Report
小児ラブドイド腫瘍発がん・進展におけるエピゲノム変化の関与解明と治療法探索
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18J14965
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂倉 恵 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ラブドイド腫瘍 / 小児がん / 多能性 / smarcb1 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、小児腫瘍の一種で非常に悪性度の高いラブドイド腫瘍におけるエピゲノム制御機構の役割を明らかにすることを目的とした。ラブドイド腫瘍ではがん抑制遺伝子として知られるIni1の欠損が唯一共通してみられるため、これまでIni1が欠損することでラブドイド腫瘍が発生・進展すると考えられてきた。薬剤依存的にIni1の欠損を誘導可能なマウス作製し、生後4週齢から体細胞においてIni1欠損を誘導したところ、顔面に浸潤増生を示す悪性度の高い腫瘍を形成した。しかし、腫瘍の組織学的解析では特徴的なラブドイド細胞の出現は確認されず、ラブドイド腫瘍の発生にはIni1欠損のみでは不十分であることが明らかとなった。ラブドイド腫瘍にはIni1以外に共通した遺伝子変異が見られないことから、発がんにはIni1欠損に加えてエピゲノム制御の変化が関与することが考えられた。研究員の所属グループの研究により、多能性幹細胞のエピゲノム制御状態とIni1欠損が協調的に作用することでラブドイド腫瘍が形成されることが明らかとなった。さらに、マウスES細胞においてCRISPR/Cas9を用いてIni1を欠損させIni1欠損ES細胞を樹立し、多能性幹細胞のエピゲノム状態維持におけるIni1の機能について解析を試みた。Ii1欠損マウス多能性幹細胞はテラトーマアッセイにおいて3胚葉に由来する細胞を含む奇形腫を形成し、多能性を維持していることが示唆された。さらに、Ini1欠損ES細胞由来の神経細胞には分化異常が観察され、Ini1は神経発生過程において重要な機能を持つことが示唆された。これらの結果から、Ini1はES細胞の性質の維持・分化において重要な働きを担っていることが明らかとなった(Sakakura et al., BBRC, 2019)。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(1 results)