2019 Fiscal Year Annual Research Report
機能性基を導入したセルロース集合体の酵素合成と材料応用
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18J15056
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野原 崇稔 東京工業大学, 物質理工学院, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | セルロース / 酵素合成 / 酵素の基質認識 / ポリエチレングリコール |
Outline of Annual Research Achievements |
酵素反応の起点として用いるプライマーの多様性を拡大し、新規セルロース集合体を構築するための知見を得ることを目的とした。これまでに、オリゴエチレングルコール (OEG) やアミノ基などの親水性の低分子であればグルコースに導入しても重合の起点としてはたらき、セルロースの合成反応が良好に進行することを見出している。本年度は、親水性高分子であるポリエチレングリコール (PEG) の導入を検討することで、適用可能なプライマーの種類を拡大することを目指した。分子量1000ならびに4000のPEGをクリック反応により導入したグルコース誘導体をプライマーとして用いた結果、PEGの分子量によらず酵素反応が進行することがわかった。反応により遊離するリン酸イオンを定量することで消費された総モノマー転化率を算出した結果、PEGの重合度の増大に伴い総モノマー転化率が低下し、酵素による認識性が低下することがわかった。これは、PEGの重合度の増大に伴い親水性や排除体積による立体反発の寄与が増大し、PEG末端のグルコースに対して酵素がアクセスしにくくなるためと考えられる。すなわち、PEGの末端にグルコースを導入することで酵素による認識性が低下するものの、重合の起点として機能することを見出した。 PEGを末端にもつセルロースが形成する集合体の構造を評価した結果、OEGを導入した場合と比較して極めて細いナノリボンを形成していることがわかった。これは、ナノリボンの表面に露出したPEGが幅方向のセルロースの水素結合の形成を抑制するためと考えられる。つまり、分子鎖末端へのPEGの導入によりセルロースの結晶成長を制御できることを見出した。以上より、親水性高分子を導入したグルコース誘導体が酵素の基質として機能すること、また、セルロース鎖末端の親水基を高分子量化することでその集合化に顕著に影響することを明らかにした。
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Research Progress Status |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)