2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of practical synthetic methods toward the functionalization of an asymmetric organoarsenicals
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18J15167
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 進 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | 非対称アルソール / 2-アリールベンゾアルソール |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではアルソール類縁体の新規光学特性開拓のためにアルサフルオレンおよび2,5-ジアリールアルソールの部分構造を組み合わせた構造を持つ、2-アリールベンゾアルソールをターゲット骨格とし合成を行った。この構造では、上記で示した2種類のアルソール誘導体の部分構造を有することから、その骨格に由来した燐光発光の発現や置換基導入による電子状態の制御が期待できる。ベンゾアルソールの2位にフェニル基およびアニシル基、7位にH基およびメトキシ基をそれぞれ有する三種のベンゾアルソール誘導体を合成した。ジリチオ化前駆体に対して求電子ヒ素試薬を滴下し、ヒ素原子を導入した。続く酸化反応およびN-ブロモスクシンイミドを用いてベンゾアルソールの2位に臭素基の導入を行った。さらに還元反応により脱酸素し、鈴木-宮浦クロスカップリングにより、2、7位に異なる置換基を有するベンゾアルソールを合成した。(得られた非対称アルソール誘導体は、溶液中および固体状態においてすべて蛍光発光を示した。また電子供与基の導入に伴い、吸収波長の長波長化および量子収率の増大が観測された。メトキシ基を導入した効果はHOMOとLUMOの両方に現れており、その効果をHOMOがより受けていることがわかる。これはHOMOがスチルベン骨格に限定して広がっているのに対して、LUMOは2-アリールベンゾアルソール骨格全体に広がっているために、HOMOがより影響を受けたと考えられる。TD-DFT計算において、紫外可視吸収スペクトルにおける極大吸収波長はHOMO-LUMO遷移に帰属され、電子供与基導入に伴い、極大吸収波長は長波長化が見られた。この傾向は実験値とよく一致していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた遷移金属触媒を用いたヒ素―他元素結合活性化を伴う炭素-ヒ素結合形成反応は収率の向上が見受けられなかった。しかしながら、別のルートで多数の非対称アルソール骨格の構築に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の研究で合成した2-ベンゾアルソール類縁体をキラルカラムにより光学分割する。得られた鏡像異性体を配位子とし遷移金属と錯形成を試みる。遷移金属は錯形成により燐光発光性を示す報告がされている白金、金、イリジウム及びロジウムを適応する。得られた金属錯体の構造を核磁気共鳴スペクトル(NMR)及び単結晶X線構造解析から同定し、光学測定を紫外可視吸収(UV-Vis)、発光(PL)、円偏光二色性(CD)スペクトル測定を用いて評価し、燐光発光性であることを蛍光寿命測定から確認する。鏡像異性体の関係にある錯体同士、及び構造の異なる配位子を用いた場合の発光特性の違いを上記の測定結果から考察する。DFT計算により軌道を観察し、前記の考察と共に高効率な円偏光燐光発光特性の発現に繋げる。
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Research Products
(6 results)