2018 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性化合物の高濃度高効率生産に向けた気相微生物反応の構築
Project/Area Number |
18J15181
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宇佐見 享嗣 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
|
Keywords | 揮発性化合物 / 微生物 / 固定化微生物 / Acinetobacter |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は有用揮発性化合物を高濃度かつ、高効率で生産する気相微生物反応プロセスを構築することである。モデル反応系として、ゲラニオールからトランス-ゲラン酸に気相変換するプロセスを作る。ゲラニオール、トランス-ゲラン酸は揮発性化合物であることに加え、水溶性が極めて低く、液相反応による物質変換は極めて困難である。微生物触媒は担体へ固定し、基質ゲラニオールは気体で供給する。そして、生産物トランス-ゲラン酸は菌体から気体として回収する。目的達成のため、高付着性と高有機溶媒耐性を併せ持つAcinetobacter sp. Tol5を用いてトランス-ゲラン酸の高生産微生物触媒を創出し、気相微生物反応プロセスを構築する。平成30年度は、トランス-ゲラン酸の高生産微生物触媒の創出を実施した。 (1)目的生産物であるトランス-ゲラン酸および中間体であるゲラニアールに対するTol5株の耐性評価:既報より4倍以上の濃度に耐えられることが明らかとなった。 (2)ゲラニオール/トランス-ゲラン酸変換の確認:Tol5株にはゲラニオールに対して変換能力を持たないことを明らかにした。そこで変換能力を付与するため、人工合成遺伝子を用いて導入した。得られたTol5形質転換体が機能するか、バッチの液相反応系にて確認するため、GC-MSを用いて継時的に評価したところ、Tol5形質転換体は2種の化合物を微量生産した。それらを単離・精製し解析した結果、トランス-ゲラン酸と(1R,3R,4R)-1-メチル-4-(1-メチルエテニル)-1,3-シクロヘキサンジオールであることが明らかとなった。 (3)トランス-ゲラン酸高生産 Tol5株の創出:配列類似性解析によりTol5のゲノムから見出したホモログを欠損し、変異体を取得した。得られた変異体はトランス-ゲラン酸高生産株であることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目標であるトランス-ゲラン酸の高生産微生物触媒の創出に至ったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和1年度は、まず創出したトランス-ゲラン酸高生産株を用いた気相微生物反応をバッチ式にて評価する。また、ラボスケールの連続気相反応型バイオリアクターを設計・開発し、プロセスの最適化を検討する計画である。
|
Research Products
(2 results)