2018 Fiscal Year Annual Research Report
Basic Study for Realization of 2D Haptic Display
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18J15488
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
永井 栄寿 横浜国立大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | デュアルソレノイドアクチュエータ / センサレス制御 / 小型化 / 並列演算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、二次元平面の触覚情報を伝達することができる触覚ディスプレイの実現である。実現には小型・軽量かつ位置および力の情報が取得可能なアクチュエータが必要であり、本研究では、小型のデュアルソレノイドアクチュエータ(DSA)をセンサレス駆動することにより上記の要求を満たすアクチュエータシステムを実現する。 初めに、小型DSAを設計・外注製作を行い、これまでに提案したセンサレス駆動手法の実装を行った。小型化に伴い、コイルの巻き数が減少するため、大きな出力を得るためには駆動電流を大きくする必要がある。しかしながら、大きな駆動電流により発生する熱が可動子の透磁率を変化させ、インダクタンス特性が変化し、センサレス位置推定の誤差が大きくなる問題が生じた。この問題を解決するために、インダクタンス特性変化による位置推定誤差の補償法を提案し、その後、補償法を導入したセンサレス位置制御の実装に成功した。また、製作した小型DSAの位置制御周波数特性は、従来のソレノイドアクチュエータおよびプロトタイプのDSAよりセンサレス位置制御周波数特性が良いことが実験により確認された。得られた研究成果は国際会議に論文投稿し発表した。 次に、複数のアクチュエータの同時駆動を目的としたFPGAコントローラでのセンサレス制御の実装に取り組んだ。これまでの実験で使用しているDSPコントローラはセンサレス位置推定等の演算を直列的に処理するため、複数のアクチュエータを同時に駆動する際、演算時間がサンプリング時間を超え、制御の実装が困難になる問題があった。FPGAコントローラを用いることにより演算処理を並列に実行することが可能になり、複数のアクチュエータを同時に駆動することが可能になる。実験により、単体のソレノイドアクチュエータのセンサレス位置制御をFPGAコントローラを用いて実装することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画では、平成30年度において、「1. 小型DSAの設計・製作およびセンサレス制御の実装」、「2. 小型DSAを複数配列した触覚ディスプレイのミニモデル製作および制御の実装」を行う予定であった。 項目1に関しては、小型DSAを設計・製作し、センサレス制御の実装に取り組んだ。小型化に伴い、駆動電流を大きくする必要があり、それにより生じる熱が位置推定誤差を大きくする問題が生じたが、補償法を提案することにより、高精度な位置推定を達成した。センサレス制御の実装まで成功したが、触覚情報を忠実に再現するには制御の周波数特性を更に改善する必要があることが文献調査により明らかになった。そのため、現在、更なる制御性能改善に取り組んでいる。 項目2に関しては、複数のアクチュエータ同時駆動を目的としたFPGAでの制御実装に取り組んだ。単体のソレノイドアクチュエータのセンサレス位置制御実装まで成功したが、複数のアクチュエータ同時駆動までに至らなかった。 上記の研究進捗状況から、やや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
DSAの更なる制御性能改善およびマスタ・スレーブシステムによる触覚情報伝達の実現に取り組む。平成30年度に提案したセンサレス位置制御手法では、5 Hzまでの周波数帯域で高精度な位置制御が達成された。しかしながら、忠実な触覚情報の再現には更なる周波数応答の改善が必要である。磁気吸引力の非線形性が提案手法には考慮されていないことが原因であると考えられるため、非線形性を考慮したセンサレス制御手法を提案し、周波数特性改善を行う。その後、DSAを用いたマスタ・スレーブシステムを構築し、1対1での触覚情報伝達を実現する。 また、アクチュエータの個数を増加させ、平面アクチュエータを構築し、平面アクチュエータを用いたマスタ・スレーブシステムによる平面での触覚情報伝達実現にも取り組む。研究成果は学術論文誌および国際会議に論文を投稿する。
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