2018 Fiscal Year Annual Research Report
一方向性ポーラス銅を用いた省エネ冷却デバイスの開発と応用
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18J15537
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Research Institution | Tokyo University of Science, Yamaguchi |
Principal Investigator |
高井 貴生 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2020-03-31
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Keywords | ポーラス体 / 高熱流束 / 流動沸騰 / 冷却 / CFD / インバータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、300~500W/cm^2の高い発熱を伴う次世代の電気自動車用車載インバータを対象として、将来の省エネ・低炭素社会に適するため、一方向性ポーラス銅を用いた省エネ冷却デバイスの開発を目的としている。研究初年度である平成31年度は、当初の計画通り次の項目を実施した。[1]一方向性ポーラス銅を用いた伝熱試験、[2]ポーラス体内における二相流動現象の解明、[3]一方向性ポーラス銅の応用展開、[4]一方向性ポーラス銅の選定と最適設計。 [1]一方向性ポーラス銅とグルーブ伝熱面間の接触熱抵抗を低減するため、はんだ接合を行い、1000W/cm^2を容易に達成する伝熱性能と一方向性の気孔内での蒸発促進による熱伝達の向上を確認した。その一方で、単相CFDによるポーラス体およびグルーブ内の流動場解析により、デバイス構造の問題点と、将来のポーラス体量産化への課題が挙げられた。[2]ポーラス体内の可視化実験を開始し、ポーラス体の気孔内の相変化をとらえることに成功した。一方、MARS法を用いた沸騰解析を実施し、まずは単純な飽和プール沸騰の体系で解析を行い、後述する一方向性ポーラス体を用いた飽和プール沸騰の体系で解析を実施している。流動系の沸騰解析は、まず単相での解析を実施し、デバイス内の流動現象を再現するまでに至っている。[3]飽和プール沸騰系への一方向性ポーラス体の導入は、伝熱実験により500W/cm^2を達成しており、そのメカニズムの解明と最適設計への指針を得るため、可視化実験とCFD [2]を実施している。[4]ポーラス体の量産化を想定して、近年伝熱分野での導入が進められている3Dプリンターを導入し、既にポーラス体を試作し、伝熱実験を実施している。また、伝熱実験以外によるポーラス体の伝熱特性の評価として、ポーラス体の有効熱伝導率を直接的に数値解析により明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3Dプリンターによる一方向性ポーラス体を用いたデバイスを設計し、伝熱試験を開始しているが、試験結果および単相CFDの結果から、ポーラス気孔への流量分配が課題となっている。可視化実験は、試験的な運用が終わり、本格的な二相流の観察に取り掛かる。沸騰解析は、現在飽和プール沸騰系での解析を進めているが、非常に時間と計算リソースを必要としている。したがって、流動系の沸騰解析が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、3Dプリンターによる一方向性ポーラス体を用いたデバイスに関して、流量分配を解消するため、デバイスに改良を施し、伝熱試験を開始する。また、CFDベースで、流量分配を解消するデバイス構造の設計・解析を行う。問題解消後、流量やサブクール度をパラメータとして、本格的な伝熱実験を実施する。また、沸騰解析の遅れが生じているが、次年度予算において、新たに解析用の高性能PCを取得する予定である。新たなPCの導入により、多数の沸騰解析を並列的に実施することで、初年度の遅れを取り戻す予定である。その他実験は予定通り実施し、最終的にすべての結果を総括することで、一方向性ポーラス体の最適設計への指針を得る。
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Research Products
(3 results)