2018 Fiscal Year Annual Research Report
ダイナミックプロジェクション計測による何でもみえるロボットビジョン
Project/Area Number |
18J20111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
千葉 直也 東北大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 三次元計測 / 輝度伝達行列 / Light Transport Matrix |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,対象物体の反射特性によらずに物体をハンドリングするロボットのビジョンシステムの構築である.位置姿勢推定に必要な情報だけを計測することで,高速に計測・位置姿勢推定が達成できると考えている.本年度の主な研究成果は1)白飛びや黒つぶれに対応したスパース推定法,2)LT行列推定の高速化,3)LT行列の複数行同時推定による高速化,4)実機でのばら積みピッキングシステムの構築である. 1) 白飛びや黒つぶれに対応したスパース推定法 ダイナミックプロジェクション計測の実現には,正確なLT行列の計測が必要不可欠である.この問題に対して,観測モデルに白飛びや黒つぶれを導入したL1最小化問題としてLT行列推定問題を定式化し,ADMMの各反復における閉形式の解を得た. 2) Sherman-Morrison-Woodbury (SMW) 公式を用いた高速LT行列推定 SMW公式を用いることでADMMによるL1最小化問題における計算量のオーダーを減らすことに成功した. 3) LT行列の複数行同時推定による高速化 LT行列の行分解推定するについて,一定数の行をあえて分解せずまとめて推定するとさらに高速にLT行列が推定できることを計算量の視点から示し高速化を行った. 4) 実機でのばら積みピッキングシステムの構築 上記2)及び3)の高速化によって十分実時間でLT行列を推定できるようになったため,我々の研究室の研究成果である点群ベースの物体位置姿勢推定手法と組み合わせて計測と位置姿勢推定を合わせて40秒程度で金属物体の認識を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ダイナミックプロジェクション計測の実現のために研究に取り組んでおり,LT行列のスパース推定の拡張(白飛び・黒つぶれに対応したスパース推定法の提案)や高速化(SMW公式による高速化やLT行列の複数行同時推定による高速化)などの研究成果を得ている.特に高速化については,特別研究員の研究計画のゴールとして設定されている「高速な汎用ばら積みピッキング」の実現への貢献が大きい. 現時点ではまだLT行列の変化分の計測には成功していないが,平成32年度に予定していたロボットを用いたばら積みピッキングシステムの構築を進めており,おおよそ研究計画に従った研究進捗状況であると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度には,2018年度に実施できなかったLT行列の変化分の計測実験とLT行列の変化分の同定を行う.実際の計測と並行してシミュレーションによるLT行列の変化分の推定を行い,LT行列の変化に関するデータセットの作成を目指す. 研究計画を提出した後に,点群深層学習に関する研究が急速に発展しており,このアプローチはLT行列の変化分のモデリングに有効であると予想している.したがってLT行列の変化に関するデータセットを用いて点群深層学習ベースのモデルを学習させ,LT行列の変化に関するモデルを得る.さらにLT行列の変化分から物体の位置姿勢を推定するよう計画を変更する. また,要素技術を結合し,実際にダイナミックプロジェクション計測システムとして動作させる.初年度にロボット・プロジェクタ・カメラシステムが構築済みであり,このシステムにLT行列変化分の計測・推定ベースの位置姿勢推定手法を適用することを目標とする. 計画全体としては,モデリング(点群深層学習ベース)と計測(スパース推定ベース)の両面の研究を進め,これらをフィードバック計測の枠組みで融合する(ダイナミックプロジェクション計測)ことを目指す.最終的にダイナミックプロジェクション計測によって複数物体の同時推定を実現できることを目標とする.
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