2018 Fiscal Year Annual Research Report
人のような空間認識能力を持つ多自由度アクチュエータ駆動二眼カメラシステムの開発
Project/Area Number |
18J20150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
部矢 明 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 多自由度アクチュエータ / 電磁アクチュエータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,ロボットに搭載するビジョンシステムのための,多自由度アクチュエータを用いた相対運動可能な二眼カメラシステムの構築およびその制御を目的とする。既存の多自由度アクチュエータは構造が複雑かつ大型な制御装置が必要なことから,小型化が困難であった。そこで本年度においては,二眼カメラシステムに搭載するための振れ補正と三自由度駆動が可能な多自由度アクチュエータを提案した。提案したアクチュエータは三個のコイルのみで三自由度駆動を可能とし,従来と比べて構造が単純化されるとともに簡素な制御装置で駆動可能である。その試作機により動特性を検証し,提案した磁気構造及び動作原理が有効であることを実証した。 振れ補正システムの制御システムとしては,未知外乱に対する高いロバスト性が求められる。そこで,提案したアクチュエータの動的モデルを導出し,非線形制御法の一つであるスライディングモード制御を適用し,外乱に対してロバストな姿勢制御手法を構築した。また,他の制御器との比較により,その有効性を示した。 さらに,制御系設計において重要であるアクチュエータの数理モデル及び物理パラメータを入出力データから推定するため,部分空間法に着目したシステム同定手法を提案した。入力として電圧値,出力として姿勢のデータを得ることで,アクチュエータのモデルを同定可能であることを数値計算をもとに示した。 最後に,システム全体の小型・軽量化を目的として,拡張カルマンフィルタによるセンサレス姿勢推定手法を提案し,数値計算により高精度に姿勢を推定可能であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産業用マニピュレータやロボットをはじめとして,多自由度機構は様々な分野で活用されている。そのため,一台で多自由度駆動可能である多自由度アクチュエータの適用による小型・軽量化及び位置決め精度の高精度化が期待されている。しかし,既存の多自由度アクチュエータは多数のコイルを三次元上に配置し,それらの励磁を切り替えて三自由度駆動する原理上,構造及び制御装置の大型化が課題となっていた。本年度において提案した多自由度アクチュエータは,これらの課題を解決するものであり,簡素な構造と制御装置によって三自由度駆動可能である。そのため,研究課題である二眼カメラシステムの駆動部としての活用が期待できる。 加えて,本年度提案した制御手法は実環境に置いて発生する多自由度振動に対して有効であることを確認しており,二眼カメラシステムへの搭載時に,認空間識精度の向上に貢献することが期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として,まず本年度に提案したセンサレス姿勢推定手法の実機による精度検証を行う。本手法では,提案したアクチュエータの動的モデルをもとに数値計算によってその有効性を確認している。しかし,実機による精度検証を行っておらず,実環境での有効性は未だ検証されていない。そのため,提案した姿勢推定手法が実環境においても有効であるかを検証する。 そして,提案した多自由度アクチュエータを二つ搭載した二眼カメラシステムを構築する。さらに,その動作特性を検証するとともに,カメラを用いて視標の位置測定,視標の高速な切り替えによる視標認識検証,視標追跡実験を行い,システムの有効性を検証する。
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Research Products
(10 results)