2018 Fiscal Year Annual Research Report
建築骨組の床の面内剛性を考慮したシステム同定法の開発とその高度化に関する研究
Project/Area Number |
18J20177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新谷 謙一郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | システム同定 / 最小二乗法 / 柔床 |
Outline of Annual Research Achievements |
H30年度における研究成果は主に1)実験による提案手法の妥当性の検証、2)提案手法の非線形域への適用である。1)では前年度に提案した同定手法の妥当性を検証するため、床の面内変形による差異を考慮した立体試験体を製作し、加振実験を行った。用いた試験体は5種類であり土台、柱(鋼棒)、梁(ばね鋼)、天板(アクリル板)、ノード部(鋼製)より構成される。土台と振動台は万力により固定し、柱とノード部はプレートによる摩擦接合を行う。水平構面は面内変形の試験体ごとの設定(剛床・柔床)に従い、天板をボルトによりノード部へ固定する。入力波は振幅調整したEl Centro 1940 NS波を用い、試験体に対し30度方向から加振する。加速度センサーはノード部上の対角位置に2軸方向、各層4つ設置し、計測対象は強制振動時及び加振後の自由振動域とした。また、求めた推定値の妥当性を検討する際に、参考値を静的載荷試験及び固有振動数比による導出法から設定する。この結果、自由振動域における応答加速度を用いた推定結果は強制振動時の結果と比べ、誤差が少ないことが明らかとなった。また推定値の比較対象となる真値は静的載荷試験や固有振動数比を用いた手法により導出し、評価された剛性値の推定誤差は最大15%程度であることが確認された。 2)では前年度に提案した同定手法を非線形域においても適用できるように拡張し、多層型立体モデルを対象とした手法を展開した。また数値例題により手法の妥当性が確認された。これにより前年度手法とは異なり、加速度成分のみによる同定が可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
H30年度における研究成果は主に1)実験による提案手法の妥当性の検証、2)提案手法の非線形域への適用である。1)では前年度に提案した同定手法の妥当性を検証するため、鋼材からなる立体試験体を複数製作し自由振動実験及び強制加振実験を行った。この結果、評価された剛性値の推定誤差は最大15%程度であると確認され手法の妥当性が確認できた。 2)では前年度に提案した同定手法を非線形域において適用できるように拡張し、柔床多層型立体モデルを対象とした手法を提案した。また数値例題を行い、提案手法の妥当性を確認した。 1)の成果は当初計画にはなかったが、非線形域に用いる理論的枠組みは同一であるため線形域における提案手法の実験による検証を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度展開した非線形域における同定手法の実験的検証を行う。本実験は柔床試験体を対象とし、各構面に平行な応答加速度のみを用いて試験体の構面ごとの復元力特性を推定する。実験結果から得られた知見の整理を行い、提案手法の妥当性を明らかにする。 次に、非線形域における同定手法の高度化を行う。前年度において提案した手法を用いて各構面の復元力時刻歴波形をフーリエ展開により表現し、推定対象をフーリエ係数とした線形のパラメター推定問題へと変換する。この方法を多層多構面モデルへ適用可能となるように拡張し、汎用化を目指す。またこの提案手法を用い、バイリニア型復元力特性を基本とし、より複雑なバイリニアスリップ型などの復元力特性を有するモデルを対象とした数値シミュレーションにより妥当性を示す。
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Research Products
(2 results)