2019 Fiscal Year Annual Research Report
建築骨組の床の面内剛性を考慮したシステム同定法の開発とその高度化に関する研究
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18J20177
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
新谷 謙一郎 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | システム同定 / 最小二乗法 / 柔床 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度における研究成果は主に1)実験による線形域を対象とした同定手法の検証結果の投稿、2)非線形域を考慮した提案手法のまとめである。 1) は前年度に行った、立体試験体を複数製作し、自由振動実験及び強制加振実験を行った結果をまとめ、国際論文へ投稿をした。試験体は土台、柱(鋼棒)、梁(ばね鋼)、天板(アクリル板)、ノード部(鋼製)より構成され、床の面内変形による差異を考慮した構造である。 昨年度までの提案手法は、入力加速度および構面位置ごとの各階の応答値を計測し、最小二乗法を用いて鉛直構面および水平構面の剛性と減衰係数を直接推定するため、応答が線形域であることが前提であり、床の面内および鉛直構面の復元力特性の塑性域を考慮していない。このため、2) では多層型立体モデルに対して塑性域を考慮した手法を展開した。本提案手法では、前年度の手法とは異なり、加速度成分のみによる同定が可能となった。また、非線形復元力特性のタイプなどの仮定を行うことが不要である点が特徴として挙げられる。 次に手法の妥当性を明らかにするため、地震応答解析により得られた応答加速度データを観測値とする数値例題を実施し、推定精度の検証を行った。この結果、入力地震波の違いによりある程度の精度の差異が見られることが明らかとなった。また、応答値加速度に対しホワイトノイズを付与した条件においても一定の推定精度を保つことが確認され、非線形システム同定手法の妥当性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの提案手法は、質量が既知であるモデルについて、入力加速度および構面位置ごとの各階の応答加速度を計測し、最小二乗法を用いて鉛直構面および水平構面の剛性と減衰係数を直接推定する手法である。しかし、この手法は応答が線形域であることが前提であり、床の面内および鉛直構面の復元力特性の塑性域を考慮していない。そこで、本年度の提案手法では、各層の対角上の水平2方向の応答加速度データから、床面および各鉛直構面の層せん断力をフーリエ展開により近似表現し、そのフーリエ係数から非線形復元力特性を同定することが可能となった。非線形復元力特性のタイプなどの仮定を行うことが不要である点が大きな特徴である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度展開した多層多構面モデルに対応した非線形域における提案手法の詳細な検証を行い、知見をまとめる。本手法は、各構面の復元力時刻歴波形をフーリエ展開により表現し、推定対象をフーリエ係数としたパラメター推定問題へと変換するものである。
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Research Products
(4 results)