2019 Fiscal Year Annual Research Report
可視広帯域かつ単分子空間分解能を有する吸光度イメージング技術の開発
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18J20248
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 遼 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 近接場光学 / 吸光分析 / 近接場走査型光学顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、可視広帯域かつ単分子空間分解能での吸光分析を実現することである。今年度は、蛍光分子を用いた白色ナノ光源の生成と、ナノ白色光源を用いた吸光分析の実証を行なった。プラズモンを利用しない白色ナノ光源の生成は、これまでに例がなく、重要な技術を開発した。 波長405nmの入射光で励起される異なる3つの色素分子を原子間力顕微鏡探針にアミノシランを介して修飾した。探針先端に光を照射し、探針からの信号を得ることで、白色ナノ光源の生成を確認した。作成した探針を用いて、ナノ吸収分析を行なった。 試料には、可視領域にバンドギャップを有する遷移金属型ダイカルコゲナイド材料の二硫化モリブデンを利用した。探針を試料上に配置し、広帯域スペクトルを計測した。探針が試料上に位置していない時のスペクトルも測定することで、吸収スペクトルを構築した。観測したスペクトルでは、580nm,640nm付近に吸収ピークが観測され、二硫化モリブデンのバンドギャップの位置と合致することから、提案した白色ナノ光源にてナノ吸光分析の成功を確認した。 しかしながら、蛍光分子は入射光の高いエネルギーによって直ぐに退色してしまうため、マッピングには適していないことがわかった。そこで、蛍光分子ではなく、蛍光性金属ナノクラスターの使用を検討した。初めに金ナノクラスターの合成方法を確立した。合成に使用する配位子分子の違いによって、励起・発光波長が変化するため、様々な配位子を試し、所望の励起・発光波長を有する金ナノクラスターを合成した。チオリンゴ酸を利用した金ナノクラスターの合成はあまり研究されていないため、本合成法を確立したことは意義が大きいと考える。 次年度は、作成した蛍光性金ナノクラスターを使用し、白色ナノ光源を実現する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究目的は、可視広帯域かつ単分子空間分解能での吸光分析を実現することである。今年度、既にナノ光源の広帯域化を既に達成しており、当初の計画以上に進展していると言える。また、広帯域化に加え、ナノ光源の安定化も視野に入れたナノ光源開発も行い、既に実証しており、計画以上の成果が最終的に得られると考える。空間分解能の評価は次年度行うが、既に20nmの空間分解能を達成しており、探針の先鋭化を行うことで、単分子空間分解能は十分に実現可能だと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、確立した金ナノクラスターの合成法を利用して、様々なサイズのナノクラスターを合成する。また、探針への修飾は既に実証したアミノシランを利用した手法が採用できるように配位子を選んでいる。配位子はカルボキシル基を有しており、スクニシルイミド基に変換することで容易に修飾可能である。探針の先鋭化は、プラズマエッチングを利用する。 作成した、探針を用いて、ナノ吸光分析を実施する。試料には、二硫化モリブデンの他に、二硫化タングステンなどの遷移金属型ダイカルコゲナイド材料や、タンパク質を検討している。空間分解能の評価は、単層カーボンナノチューブの吸光分析にて行う。高い空間分解能と感度を得るために、入射光の入射角をさらに制限したり、探針先端を電子ビームリソグラフィーとうで微細加工することも検討している。
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Research Products
(5 results)