2019 Fiscal Year Annual Research Report
副腎疾患病態解明に資する特異的ステロイド代謝イメージング法の開発
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18J20250
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹尾 映美 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | イメージング質量分析 / ステロイドホルモン / 誘導体化 / 酵素 / 組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成31年度(令和元年)は、まず、平成30年度の研究結果を踏まえて当該データの論文化を行った。当該論文は、Analytical chemistry誌(impact factor:6.35(2018))に採択され、既に他の論文に引用されるなど、多くの研究者に読まれている。また、本研究を通して得た知見・知識を元に、オランダ マーストリヒト大学のRon Heeren教授および学生のBrit Claesとともに、イメージング質量分析における異性体分離の重要性・現状に関する総説を共筆頭著者として執筆した。当該総説は、Mass spectrometry誌に採択され、日本質量分析学会の2019年度会誌賞を受賞するなど、国内外の研究者から高い評価を受けている。
一方、研究計画で予定していた定量が難しいと判断したため、研究計画を少々変更した。実際に代謝の流れを理解するために、各代謝物の分布だけでなく酵素のその場での働き・代謝の流れを理解することを重要であると認識し、イメージング質量分析を用いた酵素組織化学手法の開発を行うこととした。平成30年度(令和元年)はその予備実験として、マウス脳およびキイロショウジョウバエにおけるコリンエステラーゼ(ChE活性)の可視化に取り組んだ。本実験で確立した新たな酵素組織化学手法では、従来の酵素組織化学手法では難しかった組織切片上での半定量的な酵素活性情報の獲得・可溶性酵素の活性情報の獲得が可能になり、酵素組織化学における新たな一歩になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)研究計画で予定していた組織切片中の各ステイロイドホルモンの定量を行うことで代謝の流れを理解することは難しいと判断したため、研究計画を少々変更した。 2)変更に伴い開始した「イメージング質量分析による酵素組織化学手法の開発」については、順調に進んでおり、既に当該データを元に論文を執筆して英文査読付き雑誌に投稿済みである。イメージング質量分析を用いた酵素組織化学の例は現在4報のみ報告がある新たな分野であり、当該論文も採用・掲載された後には今後の酵素組織化学の発展に繋がる重要な論文となり得ると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更に伴い、イメージング質量分析を用いた酵素組織化学手法の開発を進めて行く。2020年度は、2019年度に開発した手法を元に、他の酵素への適用を行い、代謝物の分布に加えて酵素のその場での働き・代謝の流れを理解することを目指す。従来の酵素組織化学手法では不可能であるような産生酵素・脱炭酸酵素等を対象とし、前処理・分析条件の最適化を行っていく。また、開発した手法はマウス等のモデル動物に適用し、有用性を示すとともに新規知見の獲得を目指す。
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