2018 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケル触媒を利用した純水ベースの超精密表面研磨手法の開発
Project/Area Number |
18J20252
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤 大雪 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
Keywords | 半導体デバイス基板材料 / 平坦化技術 / 触媒 / ニッケル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は最先端科学技術を支える半導体デバイス基板材料の高精度表面作製技術の確立にある.半導体デバイス材料として期待されるSiCおよびGaN等を加工対象としているが,高脆性かつ化学的に安定であるため困難を極める.これまで表面平坦化手法として化学機械研磨(CMP)が利用されてきた.CMPでは砥粒を用いるため,加工後表面の機械的ダメージの導入を完全に避けることができず,最終的なデバイイス性能や歩留まり低下を招く.そこで我々は化学作用のみで進む平坦化技術として触媒表面基準エッチング(CARE)法を提案している.本手法は,基準面に固体触媒を用い,その触媒作用によって基準面上でのみエッチング反応が誘起される.基準面に最も近づく被加工物凸部から選択的にエッチングされるため,高能率に平坦面を得ることができる.また加工液に超純水を用いていることから環境調和型のクリーンな加工法でもある.しかしながら,触媒由来のエッチングのみで反応が進行するためその加工速度はいまだ遅く,その改良が求められていた.昨年度,本手法の反応経路から使用する触媒に大きく依存することが明らかとなり,Niを使用することでこれまでの約10倍もの加工速度を得ることが示された.また,電気化学的手法を導入することで本来,即座に失われるNiの高い触媒活性を,長時間維持することにも成功し,高精度表面および高加工速度を持ち合わせる平坦化手法の確立に大きく近づいた.また,Ni以外の触媒の検討を始めており,さらに高い触媒活性を示す金属を発見した.今後をそれらを用いた加工実験を行い,本手法の加工能率を向上させていく.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定として,Ni利用における条件設定,および加工装置の作製,新規触媒の探索,各種機能性材料への適応また,計算機シミュレーションによる反応メカニズムの解明を掲げていた. 電気化学的手法により,Ni利用における電位等の条件出しを行い,作製した加工装置を用い,安定した加工をSiC基板だけでなくSiO2基板においても実現することができた.また並行して実施していた計算機シミュレーションの結果から本反応がこれまで開発してきたCARE法と同様の間接型加水分解反応であることを明らかにすることができた.これは触媒探索において非常に有益な知見であり,実際にNiよりも優れた触媒性能を示す金属の選定を可能にした.これらより,進捗としてはかなり順調に進呈していると判断できる.
|
Strategy for Future Research Activity |
昨年度は電気化学的手法の導入によりNiの利用をほぼ確立できた.また,新たな触媒としてFeが期待できることも明らかになった.本年度はFeをNiと同様に利用できるよう条件出しを行い本手法の確立に努める.また,光電気化学的酸化法としてUV照射を援用したCARE法の開発も並行して行っていく予定である.
|