2019 Fiscal Year Annual Research Report
バクテリア細胞へのマイクロインジェクション操作による長鎖DNA導入システムの構築
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18J20258
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
高橋 沙和子 富山県立大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロインジェクション / バクテリア / スフェロプラスト / プロトプラスト / 巨大化 / DNA複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
採用第1年度では、培地中の金属塩を考慮することで、マイクロインジェクション可能なバクテリア細胞を創り、グラム陰性細菌であるLelliottia amnigenaの巨大化スフェロプラストとグラム陽性細菌であるEnterococcus faecalisの巨大化プロトプラストに対し、蛍光タンパク質溶液を導入した。その後、形質転換系が確立しており、マイクロインジェクションも容易にできるE. faecalisを用いて、DNAのマイクロインジェクション実験に進んだ。E. faecalisは、DNAの複製を伴いながら巨大化し、複製を阻害すると巨大化も停止することが明らかになっている。また、定量PCRによるDNA量の測定により、培養48時間の巨大化細胞は複製を活発に行っていることがわかった。この細胞はマイクロインジェクションが可能な大きさでもあるため、DNAの導入実験は、培養48時間の細胞に対して行うことにした。導入液は、真核細胞へのマイクロインジェクションで報告されている、水やトリスバッファーなどをDNAの溶媒として使用した。最初に、E. faecalisの遺伝子発現プロモーターを付けた緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子をコードした短鎖DNAをマイクロインジェクションし、GFPの蛍光を確認したが、再現性を得られなかった。そこで、短鎖DNAは、細胞内で分解されやすいと考え、プラスミドを導入することにした。しかし、プラスミドからの発現も捉えることができなかった。この原因として、本実験に進む前に、巨大化細胞内で安定して導入DNAを発現させるために必要な、DNAの溶媒と濃度の検討およびDNA導入実験のコントロールが不足していたことが考えられる。E. faecalis自身のゲノムを用いてDNA導入のコントロール実験を行い、巨大化の進行を妨げない確実な溶媒と濃度を特定する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
蛍光タンパク質溶液の導入により、バクテリア巨大化スフェロプラストおよびプロトプラストに対するマイクロインジェクションが可能であることを示し、DNAの導入実験に進んだ。しかし、短鎖DNAおよびプラスミドDNAのマイクロインジェクション実験を行ったが、導入DNAからの発現を捉えられたのは一度だけであった。よって、長鎖DNAの導入に進むことができず、DNAのマイクロインジェクションの基盤を整える必要性が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
巨大化細胞内で安定して導入DNAを発現させるために必要な、DNAの溶媒と濃度の検討およびDNA導入のコントロール実験を行う。現在宿主として使用しているのはE. faecalisであるため、E. faecalis自身のゲノムを用いてDNA導入のコントロール実験を行い、巨大化の進行を妨げない確実な溶媒と濃度を特定する。その後、E. faecalisのゲノムに内膜タンパク質を蛍光標識した配列を組み込み、そのゲノムをマイクロインジェクションし、導入ゲノムからの発現を調べていく。
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Research Products
(2 results)