2020 Fiscal Year Annual Research Report
mtDNAに病原性突然変異を有する新規ミトコンドリア病モデルマウスの作出と解析
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18J20289
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷 春菜 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | ミトコンドリア / ミトコンドリア病 / ミトコンドリアゲノム / 病態モデルマウス / ミトコンドリア遺伝子疾患 / エネルギー産生不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き、樹立に成功した変異型mtDNAを有するモデルマウス(mito-mice)群における病態解析に取り組んだ。前年度時点で、生後10ヶ月齢のmito-miceにおいて、軽度のミトコンドリア病およびⅡ型糖尿病の発症が確認されていたため、組織を用いた詳細な解析を行った。その結果、変異型mtDNAの含有率の高いmito-miceでは肝臓の肥大が目視にて確認されたため、組織学的解析を行った結果、脂肪滴の過剰な蓄積が確認された。同様に血清を用いて肝機能マーカーの測定を行ったところ、mito-miceでは野生型マウスと比較し、ALTや中性脂肪の血中含有量が上昇している事が明らかとなった。この事から、樹立されたmito-miceでは、10ヶ月齢において、ミトコンドリア病、II型糖尿病に加え、脂肪肝をともなう肝機能不全が誘発されていることがわかった。 さらに、mito-miceの各組織を用いてNative-PAGEによるミトコンドリア呼吸酵素複合体の活性測定を行ったところ、主要な組織において顕著な呼吸酵素複合体Iの活性低下が確認された。加えて、組織切片を用いた活性染色の結果、変異型mtDNAの含有率の高い複数の組織では、呼吸酵素複合体IVの活性が低下した細胞を含んでいることがわかった。これらの結果から、mtDNAにコードされたtRNAに生じる突然変異は、ミトコンドリア呼吸活性の低下を誘導するが、その中でも特に呼吸酵素複合体Iの活性を顕著に欠損させると考えられた。このような呼吸酵素複合体I活性の欠損はヒト相同変異を有するミトコンドリア病患者の臨床報告においても特徴付けられており、患者の病態を再現するモデルマウスの樹立に成功したと結論した。 以上の結果は、申請者を筆頭著者とした原著論文として学術雑誌に投稿中である。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(3 results)