2018 Fiscal Year Annual Research Report
地理的・社会的近接性を考慮した企業間ネットワークの計量分析
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18J20392
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
高野 佳佑 筑波大学, システム情報工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | (Un)related variety / 企業間ネットワーク / 地域経済 |
Outline of Annual Research Achievements |
個別研究課題①災害リスクが取引先の空間分布に与える影響の分析:Unrelated Variety(産業・地域間の多様化により,特定産業・地域へのショックの平準化や,技術変化への適応を推進するもの)に着目した実証研究である.具体的には,南海トラフ地震の津波被害想定地域にサプライヤーを持っていた企業群を,仕入先が東日本大震災による影響を受けた群とそうでない群に分けた上で,震災前後での仕入先の空間分布の両群比較を行った.製造業について,次の暫定的な結果が得られている.主に売上高や従業員数で見た時に比較的小規模な製造業企業群では,震災直後,一時的に仕入先の空間分布が集約傾向になったが,震災後3年以降は統計的に有意な分散・集約傾向は見られなくなった.一方,中堅規模の製造業企業群においては,震災直後に仕入先の空間分布が分散傾向になったまま,2018年現在まで推移していることが明らかになった. 個別研究課題②地方自治体主導研究開発助成の効果計測:Unrelated VarietyとRelated Variety(自身と類似した経済主体との繋がりの形成によって,他者からの知識獲得を推進するもの)の両方に着目した実証研究である.具体的には,各々助成内容が異なる中部地方の3県を対象に,県主導の研究開発助成制度が,受給企業の業績や取引関係に与えた影響を計測した.助成を受けた企業群とそうでない企業群との比較分析を通じ,取引関係への影響について,次の暫定的な結果が得られている.製品実用化を主目的とした助成制度の下では,販売先の(Un)relatedな地域・産業的多角化が観測されるものの,研究開発時の連携先に関する制約が強い場合には,地域や産業を超えた多角化は統計的に有意には観測されなくなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究課題を進める上で用いる統計的手法に係る再検討を行ったものの,当初の計画通り,(新)経済地理学の観点から,地理的・社会的近接性に関する経済理論や概念的枠組み,それらの実証的検証法についてのレビュー・整理を行った上で,主として企業間ネットワークの空間的構造を題材とする計量分析を進めてきた.得られた研究成果については,地域科学に関する国内学会のひとつである応用地域学会や,中小企業に関する国際学会であるACSB2018等,国際・国内両方の学会にて既に報告を行っている.これら学会での成果報告の折に得られた各分野の専門家からのコメントを基に,これまで行ってきた予備的分析を,論文投稿に向けた本格的な分析へと移行させる上での研究方針についての検討を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果を投稿論文や博士論文の形でまとめる為,研究課題に関連する最新の学術的・社会的動向へのレビュー・整理を更に深化させる.予備的分析の結果を踏まえ,分析方針の検討を再度入念に行うことにより,識別戦略を始めとする実証分析のデザインをより精緻なものとする. 59th ERSA CongressやRSA2019を始めとした,都市・地域経済学及び経済地理学に係る国際学会における国外の研究者との議論を通じて,本研究課題の国際的な位置付けを明確化する.各個別研究課題に関連している行政担当者を始めとする実務担当者へのヒアリング等を通じ,計量分析で得られた結果と相補的な定性情報を広く収集する.
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Research Products
(3 results)