2019 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of attractant for plant parasitic nematode
Project/Area Number |
18J20534
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
大田 守浩 熊本大学, 自然科学教育部, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 植物感染性線虫 / 誘引物質 / 植物-動物相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
SR培養液由来の線虫誘引物質の単離・精製実験については、HPLC精製などを繰り返し行い、線虫誘引物質の構造決定を試みた。研究計画通り順調に進んでおり、RG-Iが線虫誘引物質である事が強く示唆された。今後は陰イオン交換クロマトグラフィーなど、異なる性質のカラム導入を行うことによって、誘引活性に必要な最小の構造の決定を目指す。これら細胞壁構成糖に関する線虫誘引物質についての内容は、2019年11月の植物構造オプト若手の会にて「植物感染性線虫に対する誘引物質の解析」 という演題で口頭発表済みである。今後は引き続き、ダイズ根抽出液・SR培養液から線虫誘引物質のさらなる精製を行うことにより、どの構造が線虫誘引には重要であるか明らかにしていきたいと考えている。また、カダベリンの実験に関しては、「ダイズ根由来のジアミン類が線虫誘引に重要な働きをしている」という内容でMolecular Plant誌に論文を投稿していたが、ダイズ以外の植物でもジアミン類の測定をするよう指摘を受けた。そこで、トマトを用いて同様にジアミン類の測定を行った結果、ダイズよりも多量のジアミン類がトマトに含まれている事が明らかになった。トマトはダイズよりも線虫誘引活性が低い為、「ダイズ根由来のジアミン類が線虫誘引に重要な働きをしている」という結果と矛盾するが、その後の詳細な解析により、トマトには線虫忌避物質が含まれている事が明らかになった。以上の結果をまとめて再投稿したところ、2019年12月にアクセプトされた。これらの内容は、2019年12月の線虫若手の会~土壌微生物を語る会にて「植物感染性線虫に対する誘引物質の解析」という演題で口頭発表済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
申請者の研究は、植物感染性線虫に対する誘引物質の探索である。研究計画の主要な項目である、線虫誘引物質の単離について、順調に精製が進んでおり、候補化合物として細胞壁構成糖であるRG-Iが単離された。あと少しで詳細な構造決定が可能ではないかと考えられる。一方、化合物ライブラリーより単離したカダベリンの研究に関しては、昨年の時点では、Molecular Plantに投稿中であった。その後、編集者からジアミンの量をダイズ以外の植物でも測定するよう求められた為、トマトの根抽出物中のジアミン量を測定した。その結果、ダイズより多量のジアミン類が含まれている事が明らかになった。トマトはダイズよりも線虫誘引活性が低いため、「ジアミン類が根から放出される線虫誘引物質である」という我々の結果と矛盾してしまう。そこで原因を追求したところ、トマト中に含まれている何らかの線虫忌避物質による効果である事が明らかになった。以上の結果をまとめて再投稿したところ、2019年12月にアクセプトされた。今後は、線虫側の受容体を同定したいと考えている。以上のように、申請者の研究は極めて順調に進んでおり、期待以上の研究の進展があったといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
陰イオン交換クロマトグラフィーを組み込んだ精製により、SR培養液から誘引物質を単離し、線虫誘引物質の構造を同定・確定する。構造が確定したら、合成糖を作成し、バイオアッセイによってその同定した糖が、真の線虫誘引物質である事を確定する。構造が決定したら、構造が決定したら、遺伝学的な解析が容易な、シロイヌナズナ、及びミヤコグサで線虫誘引物質の機能欠失変異体と過剰発現体を作製し、それぞれの植物体で線虫の誘引活性が減少もしくは増大するかどうか確認する。また、他種の線虫に対する糖の効果を確認するため、アレナリアネコブセンチュウ、ダイズシストセンチュウ、さらに自活性線虫としてC. elegansを用いて線虫間における糖の種特異性を確認する。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Identification of naturally-occurring polyamines as nematode Meloidogyne incognita attractants2020
Author(s)
Morihiro Oota, Allen Yi-Lun Tsai, Dan Aoki, Yasuyuki Matsushita, Syuuto Toyoda, Kazuhiko Fukushima, Kentaro Saeki, Kei Toda, Laetitia Perfus-Barbeoch, Bruno Favery, Hayato Ishikawa, and Shinichiro Sawa
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Journal Title
Molecular Plant
Volume: 13
Pages: 658-665
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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