2018 Fiscal Year Annual Research Report
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18J20572
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| Research Institution | University of Tsukuba |
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Principal Investigator |
吉成 祐人 筑波大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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| Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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| Keywords | 生殖 / 交尾行動 / 幹細胞 / ショウジョウバエ |
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| Outline of Annual Research Achievements |
申請者はこれまでに雌ショウジョウバエを用いて、卵を作るもととなる生殖幹細胞の増殖が、交尾からはじまる神経系を介したシグナル伝達によって起こることを明らかにした。しかし、どのように交尾の情報伝達を担う神経が制御されるのか、また神経系からのシグナルを受容した卵巣の細胞がどのようにして生殖幹細胞の増殖を引き起こすのかは明らかになっていない。そこで、申請者は「交尾の情報を卵巣に伝達するまでの経路で機能する神経のマッピング・相互作用の精査」「卵巣における交尾前後の生殖幹細胞の増殖制御に関わる因子・シグナル伝達機構の解明」を目的とし、交尾依存的に起こる雌ショウジョウバエの生殖幹細胞の増殖メカニズムの解析を行っている。
申請者は本年度の研究計画として、交尾依存的な生殖幹細胞増殖を担う神経において発現する神経伝達物質受容体の機能の精査を設定していた。そこで、卵巣へ投射し、交尾の情報を伝達する神経において少なくとも7種の神経伝達物質受容体遺伝子が発現することを明らかにした。そしてそれらの神経伝達物質受容体の機能を解析したところ、交尾依存的な生殖幹細胞増殖に影響を与えるものが複数得られた。今後、それらの神経伝達物質受容体の機能を操作した際に、実際に卵巣に投射する神経の活性がどのように調節されるかを明らかにする予定である。
さらに申請者は、交尾依存的な生殖幹細胞の増殖には、卵巣へと投射する神経によって引き起こされる卵巣の細胞内のカルシウムシグナルが必要であることを見出した。今後、カルシウムシグナルがどのようにして生殖幹細胞の増殖を引き起こすかの解析を行う予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者は本研究における目標を「交尾の情報を卵巣に伝達するまでの経路で機能する神経のマッピング・相互作用の精査」「卵巣における交尾前後の生殖幹細胞の増殖制御に関わる因子・シグナル伝達機構の解明」と定めていた。その中で昨年度、申請者は交尾の情報を卵巣へと伝達する神経を明らかにし、その神経の活性を調節する可能性のある神経伝達物質受容体を同定した。これは交尾依存的な生殖幹細胞の増殖を制御する生理機構を解析する上で、第一歩となる発見であり、より詳細な解析を進める上での糸口になると考えられる。また、交尾依存的な生殖幹細胞の増殖に対して、卵巣側で機能するシグナルとしてカルシウムシグナルを見出した。この発見も上記の目標を達成する糸口となる発見であり、今年度、来年度とより詳細な解析をすることで、交尾―卵巣へ投射する神経―カルシウムシグナルー生殖管細胞増殖という一連のシグナル伝達を解明できると考えられる。そのため、私は昨年度の自身の進捗状況を「おおむね順調に進展している」と評価する。
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| Strategy for Future Research Activity |
申請者は卵巣へ投射し、交尾の情報を伝達する神経において少なくとも7種の神経伝達物質受容体遺伝子が発現することを明らかにした。そしてそれらの神経伝達物質受容体の機能を解析したところ、交尾依存的な生殖幹細胞増殖に影響を与えるものが複数得られた。しかし、実際にそれらの神経伝達物質受容体が卵巣へ投射する神経の活性を調節するか、また、それら神経伝達物質受容体のリガンドがどのような神経から由来するかは明らかになっていない。そこで今後の研究の推進方策として、それら神経伝達物質―神経伝達物質受容体のシグナルが卵巣へ投射する神経に与える影響について精査することを挙げる。
また、申請者は交尾依存的な生殖幹細胞の増殖に対して、卵巣側で機能するシグナルとしてカルシウムシグナルを見出している。しかし、カルシウムシグナルが実際にどのようにして生殖幹細胞の増殖を引き起こすのかは、依然として明らかでない。この問題を解決するために、申請者は卵巣の体細胞系列で発現し、カルシウムシグナルに応答する遺伝子・タンパク質の同定を行う予定である。既に卵巣の体細胞系列で発現する遺伝子について、網羅的に解析した報告があるため、それらの先行研究から候補の遺伝子をあぶり出すことを考えている。
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Research Products
(5 results)
