2020 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の眼における光応答性季節変動の分子機構の解明
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18J20765
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
沖村 光祐 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 冬季うつ病 / 網膜電位図 / ドパミン / 眼 |
Outline of Annual Research Achievements |
季節性感情障害は北米や北欧の高緯度地域を中心に社会問題となっている精神疾患である。冬にのみ抑うつ症状が見られることから「冬季うつ病」としても知られる。冬における日照時間の減少が発症要因として指摘されているが、その仕組みは不明である。 眼から脳へ伝えられる光刺激は気分にも影響する。網膜電位図(ERG)を用いた研究によると、冬季うつ病患者の眼の光応答性は夏に比べて冬に弱くなることが報告されている。しかし、その仕組みも不明であった。そこで、本研究では、マウスの眼の光応答性に及ぼす季節情報の影響とその分子機構の解明に取り組むこととした。 マウスを長日温暖(long day and warm: LW)条件、短日低温(short day and cold: SC)条件で飼育したところ、SC条件のマウスのERGがLW条件に比べて弱くなることが明らかになった。そこで、RNA-seq解析を用いて、季節情報が及ぼすマウスの眼の遺伝子発現変化を調べた。その結果、ドパミンの律速酵素をコードするTyrosine hydroxylase(Th)遺伝子の発現量がSC条件のマウスで減少していた。これまでに、ドパミンは網膜の光応答性に関与することが報告されている。そこで、Th遺伝子発現量と光応答性の季節変動の関係を検討した。まず、Th遺伝子の発現量と光応答性はいずれも温度ではなく日長によって季節変動を示すことを明らかにした。さらに、ドパミン受容体の作動薬および拮抗薬の投与により、光応答性の季節変動を制御することに成功した。このことから、ドパミンの日長依存的な季節変動がマウスの眼の光応答性の季節変化を制御していることが示された。最後に、薬理学的検討を行い、cAMPの活性化によりマウスの冬季の光応答性の減弱を回復することにも成功した。ヒトの冬季うつ病発症機構の解明や新規治療方法の確立に貢献することが期待される。
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Research Progress Status |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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