2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a hybrid type paper-based devices for multi-target simultaneous concentration measurement of components in blood
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18J20882
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小松 雄士 北海道大学, 大学院総合化学院, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | デジタルマイクロ流体デバイス(DMF) / 紙デバイス / リチウムイオン濃度定量 / 誘電泳動(DEP) |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者がこれまで開発してきた血中のリチウムイオン(Li+)濃度定量可能な紙デバイスに統合する赤血球の分離と血漿の定容導入が可能なマイクロユニット(DMF)の開発に取り組んできた。 ①電極デザイン:当初の問題点は、赤血球が電極端を沿って移動することで分離効率が低くなってしまうことであった。そこで、特殊な構造の電極を試したが、期待する結果は得られなかった。 ②実験環境条件:DMFは、二つのガラス板間に空隙を作り、微小液滴を駆動する。そこで、この電極サイズ(0.5-2mm)や空隙の大きさ (0.03-0.2mm)、赤血球を補足する高周波数電圧の周波数 (0.5-2MHz)を検討した。結果として、電極サイズ (1mm)、空隙 (0.2mm)、高周波数電圧の周波数 (1.5, 2.0 MHz)の時、約1分で100%に近い分離効率で血漿を分割できた。 ③分離温度:血中蛋白質を測定する場合、電極に電圧を印加した際の温度が重要になる。そこで赤外線サーモグラフィーカメラで、分離工程中のDMF上の温度を測定した。全測定において、温度は38℃以下であったため、蛋白質の変性に影響しないと予想される。 ④ハイブリッド型紙デバイス:DMF上で血液を駆動させるためには、二つのガラス板間の空隙に界面活性剤を注入する必要がある。一方、紙は界面活性剤を吸油することが予想された。そこで、提案するハイブリッドデバイスが機能するのかを確認する実験を行った。あらかじめLi+と反応する検出試薬を乾燥させた微小な紙片に再度微量の検出試薬を導入したあと、DMFに挟み込んで界面活性剤を注入した。紙片は既に濡れた状態のため、界面活性剤を吸油することはなかった。続いて、リチウムイオン標準溶液の液滴を駆動させて、デバイス上の紙片に接触させた。紙片は、黄色から赤色に変色したため、提案するハイブリッドデバイスが機能することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究において、研究者が提案するハイブリット型紙デバイスの実現性が高まった。しかしながら、試料であるLi+水溶液がDMF上で微小液滴を分割する操作ができないこと明らかとなった。現在、適当な駆動条件を模索している。また、海外での研究遂行にあたり試薬の入手に時間が要していることとDMF作製装置の故障していたことも、研究の進捗が遅れている理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
人血液にリチウムイオン水溶液を混合した試料を用いて、DMF上で通常の液滴操作が可能であるかを確認する。もし通常操作が難しい場合は、混合する界面活性剤の濃度や低い周波数(1kHz以下)の検討を行う。また、DMFに統合可能な紙部材を使用して、再度リチウムイオン濃度定量のための試薬導入量の最適化を行う。最後にハイブリット型紙デバイスで血中リチウムイオン濃度定量を行う。現在、DMF開発のため7月末まで国立台湾大学に滞在することが決まっているので、可能であればタンパク質濃度定量(C反応性タンパク質など)も検討する。
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Research Products
(6 results)