2019 Fiscal Year Annual Research Report
交通量調査史料を用いた近代東京の人流に関する定量的研究
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18J20910
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
石川 和樹 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 交通量調査 / エージェントベースモデル / 東京市電 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,交通量調査史料を用いて近代(大正末期~昭和初期)の人流・交通流を定量的に推定し,それをもたらす要因を解明することを目的としている.研究の流れとしては,まず交通量調査史料のデータ化を行う.その後,作成したデータを基に人流データを構築するための定量的な手法を考案・適用し近代の人流・交通流を推定する.これと同時に,近代の職業別電話帳を利用し,職業の分布に基づいた都市構造について分析を行う.これと人流・交通流データとの比較により,最終的には推定された人流や交通流をもたらす要因やその発生・吸収メカニズムについて明らかにする. 今年度は,これまでに作成したデータを用いて,実際にモデルを利用し人流・交通流を推定した.今年度は主に,近代東京の人々にとって重要な移動手段のひとつである東京市電の交通流のシミュレーションを行った.シミュレーションはエージェントベースモデルを用いておこない,1930年当時の東京市電の渋滞状況を推定した.これまでは古写真等で部分的にしか渋滞状況は把握できなかったが,シミュレーションによる推定の結果,市電の車両が渋滞していた交差点等を面的に把握することが可能となった. 前述の研究に加え,東京市電の混雑解消のために行われた1931年の運転系統改正の前後で渋滞状況にどのような変化があったかを明らかにするため,1931年について同様の方法でシミュレーションをおこない1930年の結果と比較した.その結果,運転系統改正の効果が表れ混雑が緩和された地域がみられた一方で,一部の交差点では渋滞の悪化がみられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りシミュレーションによって当時の交通流を推定することができたため.
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Strategy for Future Research Activity |
時間帯ごとの人・交通流について推定することに加え,それをもたらす要因について解明を目指す.また,これまでの研究成果についてまとめる.
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Research Products
(7 results)