2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18J21090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
宮田 真衣 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞内共生細菌 / 共生微生物 / ボルバキア / 生殖操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.キタキチョウにおいてメス化を引き起こすボルバキア系統の特定 2系統のボルバキア(wCIとwFem)に感染しているキタキチョウでは、メス化が起こる。また、キタキチョウのwFemの垂直伝播率はおよそ80%であり、生育過程においてwCI・wFem重複感染個体からwFemが脱落し、wCI単感染となった個体についてもメス化が進むことが知られている。このことから、メス化にはwFemだけでなく、wCIも関与していることが推測される。そこで本研究では、抗生物質処理入りのエサを与えることによってボルバキアを除去した幼虫に対し、wCIとwCI・wFemをインジェクションすることによって再度ボルバキアを感染させることで、メス化を引き起こす系統の特定を試みた。wCIとwCI・wFemをインジェクションした幼虫では、性標・精巣の消失と交尾嚢が観察され、インジェクションを行わなかった幼虫よりメス化の度合いが著しい傾向がみられた。このことから、wFemだけでなく、wCIもメス化に関与している可能性が考えられた。 2.生殖操作が2種キチョウに感染するボルバキアに与える影響 自身の研究から、キタキチョウでは感染ステータス毎にミトコンドリアDNAのハプロタイプが分化し、対してミナミキチョウでは、感染ステータスとミトコンドリアDNAのハプロタイプの相関が不完全であることが明らかとなっている。ボルバキアはミトコンドリア同様、母系遺伝することからキタキチョウに感染するwCIについても、単感染個体と重複感染個体に感染するwCIは遺伝的な交流が無かったことが推測される。そこで本研究は、キタキチョウではミトコンドリアDNAと同様に感染ステータスごとにwCIが分化し、ミナミキチョウでは単感染個体と重複感染個体ではwCIに違いが見られないとの仮説を立て、現在WOファージの塩基配列の解析を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画において、初年度に予定していたキタキチョウにおけるメス化系統の特定の実験を予定通り進めることが出来た。本実験は、キチョウの個体数を多く使う実験であるため、今年度も実験を行う予定である。 また、2年目に予定していた生殖操作が2種キチョウに感染するボルバキアに与える影響についても、インジェクションの実験が終了後に進めることができた。現在、キタキチョウ・ミナミキチョウの単感染個体・重複感染個体に感染するボルバキアのWOファージの塩基配列の一部のシークエンスが終了している。 これらのことから、当初の予定とは進行する順番が変わっているものの、おおむね順調に進展しているものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は、1年目に行ったンジェクションの実験を再度行うことで、データを増やしたいと考えている。また、WOファージの塩基配列の解析も引き続き行う。どちらも実験が終了し次第、結果を論文にまとめ、学術雑誌に投稿したいと考えている。
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Research Products
(1 results)