2018 Fiscal Year Annual Research Report
Fundamental study on a new photo dynamic immunotherapy of cancers based on the sentinel lymph nodes theory
| Project/Area Number |
18J21091
|
|---|
| Research Institution | Chiba University |
|---|
Principal Investigator |
章 逸汀 千葉大学, 大学院医学薬学府, 特別研究員(DC1)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2018-04-25 – 2021-03-31
|
| Keywords | センチネルリンパ節 / 免疫療法 / 光線力学療法 / ドラッグデリバリーシステム / 癌 / インドシアニングリーン / リポソーム化製剤 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本年度は研究計画に従い、以下の2つについて進めた。
(1)BCG-CWSの近赤外蛍光色素配合リポソーム（LP-ICG-C18）への内包化および製剤の形成評価
(2)製剤の生体内動態とリンパ節内腫瘍免疫誘導の検討を行うための腫瘍転移モデルマウスの作成
(1)BCG-CWSをLP-ICG-C18に内包したBL-ICG-C18を作製するため、先行文献に基づいてBCG-CWSをソニケーションによる粒子化とサイズ調整を行い、処理後の粒子径を動的光散乱法による粒子径解析を行った。最終的にはBCG-CWSの溶媒分散量と超音波照射時間にかかわらず、粒子径がおおよそ600nm前後をピークとする正規分布が確認された。一方で透過型電子顕微鏡像(TEM)による試料観察では，リポソームの膜厚とBCG-CWSの繊維の厚みがそれぞれ3～8nmと7～16nm程度で判別可能であることが確認された。BL-ICG-C18として作製した試料については、リポソーム膜内部にBCG-CWSの繊維状構造粒子が確認され、またサイズが300～700nmのリポソーム粒子が確認されたことから、粒子径解析結果も踏まえてBL-ICG-C18が形成されたと考えた。
(2)先行文献に従い、マウス腹部のリンパ管近傍にC3H/Heマウスと同系腫瘍細胞であるSCCVIIを移植することで、移植部位下流のリンパ節で転移を起こす腫瘍転移モデルの作成を試みた。しかしながら、腫瘍移植側で顕著なリンパ節腫脹が確認されたものの、病理組織学的な検討でリンパ節内での腫瘍浸潤領域は確認できず、一方で摘出された腫脹リンパ節を組織分散装置でリンパ節組織の単細胞懸濁液化、細胞の再培養とマウスへの再培養細胞の移植を試みたが腫瘍形成には至らなかった。改善策として腫瘍転移促進因子として挙げられているTGFb1遺伝子の導入したSCCVII細胞株の作成を進めている。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)本年度の年次計画では主にBCG-CWSのLP-ICG-C18への内包化とTEMを用いた粒子の形成、性状評価を目標として検討を行ってきた。現状TEM像で目的粒子の形成が確認されており、試料形成条件とその性状についてもおおむね明らかとなっている。また次年度の年次計画に従って内包効率の向上化を進めている。ゼータ電位計測による粒子の物理特性評価は目的製剤が確立した時点で計測すると考えているため次年度行うとする。
(2)先行研究に倣って腫瘍転移マウスモデルの作成を試みたところ、リンパ節転移は確認できなかったものの、具体的な腫瘍転移を検証する手法が確立された。また、当初の年次計画では次年度の秋頃まで腫瘍転移モデル作成を見込んでいたため、改善策を含めて引き続きモデル作成を行うとする。
|
| Strategy for Future Research Activity |
(1)本年度での製剤作成法は単純水和法とソニケーション由来の作製方法で、現状相対的な内包具合については数％程度なため、内包効率の向上は困難であると考えた。したがって、改善策として物質の比重に着眼したベシクルの形成法として用いられる油中水滴遠心沈降法を応用した作成法に着目した。次年度はその手法を用いた際の分散媒比重や遠心条件、脂質配合比等諸条件の検討を行う。また、形成粒子のゼータ電位解析も行う。
(2)腫瘍細胞の転移性向上させるために、腫瘍転移促進因子として挙げられているTGFb1遺伝子の導入したSCCVII細胞株の作成を進める。導入効率は緑色蛍光タンパク質のタグ付けによる評価により行うほか、リアルタイムPCR法、及びウエスタンブロッティング法による発現解析を行う。作成細胞株を同系のC3H/Heマウスに移植し、移植部下流におけるリンパ節転移能については病理組織学的な検討と単細胞懸濁液化、再移植法による腫瘍形成によって検証行う。また、モデル作成後は製剤の投与を行い、マクロ近赤外蛍光観察カメラを用いた生体内動態およびリンパ節滞留性の評価を行うとともに、近赤外光照射による抗腫瘍効果発現について組織学的な反応をもとに検討を行う。
|
